チリ出張報告(in収穫期)(2011/7/11)

                                                       中村 慶吾

 いつも大変お世話になっております。
 7月5日〜9日までチリへ出張し、今年の収穫状況 及び情勢調査をしてまいりましたので、以下にご報告致します。

@ 肥大はやや良、輪付きの良い年になりそうです。
 2011年のシーズンは下記のような感じです。
暖かく、早くから植付けが可能で、初期生育も順調。(詳しくは2/8付報告ご参照)
初夏(12月)の気温が低めでしたが、夏全体は高めに推移、雨も適度にあった。
4-5月まで平年よりも暖かく、雨も少なかったため、最後まで生育が続いた。
時折雨はあるが、続いても1週間程度で、順調に堀取りが終わってきている。

上記気候は、発芽してから葉が枯れるまでの期間が長く、且つシーズン通して天気と気温が安定していたことから、球根生産としましては、かなり良い気候であったようです。
 訪問時、生産者によって異なりますが65-100%の収穫が終了しており、特別な遅れは見られませんでした。
 そんな訳で、球根の肥大(畑で堀上げて調べる)はあまり多くのサンプルを調査できませんでしたが、全般には“やや良”と言った印象で、夏の訪問時に心配したような太り過ぎの状況ではありません。植付け密度のコントロールが効いていて、作られたエネルギーは球根の外周ではなく、密度を増すことに使われたように感じます。

下記表は、芽形成調査の全平均を昨年の値と比較したものです。
検査日 調査球 外片 内片 芽長 芽幅 葉数 茎長 茎幅
7月5-9日 17.3p 2011年平均 11.3 19.1 34o 10.7o 44.8 18.8o 5.7o
100% 前年比% 105% 103% 113% 124% 143% 118% 117%
6月22-25日 17.3p 2010年平均 10.8 18.6 30.2o 8.6o 31.3 15.9o 4.9o



A 気がつけば、チリ産が輸入自由化して10年です。


私がチリで生活をしながら、球根の勉強をしていたのが2002年。チリ産が免除化され、初めて輸入される年でした。今は2011年の収穫期ですからあれから丁度10年がたった事になります。    
思い返すと、あっという間ですが、さまざまな変化がありました。
 それぞれの生産会社の生産規模も増え、当時はたくさんの小型機械で戦争のごとくやっていた収穫作業も、今は全社大型機械に変わり、少ない作業員で安定した静かな雰囲気となりました。プイェウエ地区にあったリカラーイェン社はロサンヘレ地区へ移動しサンハーベスト社となって成功、サザンバルブ社はオランダのヨープファンフェーン社(現在デプラス社)との合併で資本強化され、南半球最大の生産者となりました。
 昨年はコンセプシオンで地震があり、今年はピュエウェで火山が噴火と、自然もいろいろです。ちなみに今回の噴火は、サザンバルブ社のすぐ近くの山で、流れた溶岩が湖に落ち、軽石となって浮かんでいたり、川の水温が50℃にもなって、魚が死んだりしていますが、幸運にも冬は海からの風が吹き、灰のほとんどがアンデス山脈の東側(ブラジル、アルゼンチン側)へ飛んで行ったようです。百合の圃場に影響はありませんでした。


話がそれましたが、変化と言えばソネ社に力強い味方がつきました。
 写真の方はMr.ニック・ヘトコフ。 元マック社(シベリアで有名)で長く働いていましたが、転職し、現在ソネ社のアドバイザーとして従事しています。 “きれい好き”という言葉は英語で表現が難しいですが(“もったいない”という「美しい日本語」に匹敵すると思います。)、彼の影響でソネ社の多くの作業に秩序と整頓が見られ、種球管理、植付け密度、施肥管理、選別、土壌検査、収穫順番などなど、その好影響を感じ取る事が出来ます。私たちは作業の中にその会社の社風を感じ、安心したり不安に感じたりしますが、彼のデザインした生産体制には賛同できます。
 以前は寡黙な印象のあった、アラ50の彼は今、チリでアドバイザーとしての第2、第3の人生を溢れ出るバイタリティで開花させており、球根からその効果がはっきりと見られます。ソネ社にとって待望の頼もしいオランダ人になりそうです。

10年ひと昔。

私の毎年の訪問はいつも忙しい中をお邪魔していますが、私たち日本人の球根に対する熱意は伝わっていると思いますし、チリの人々に、遠い日本を身近な存在に感じてもらえる役目は果たすことができたかなと思います。