オランダ出張報告(2012/6/5)

中村 慶吾

 いつもお世話になっております。
 5月20日〜6月2日まで、オランダに出張し、品種・品質・球根生産情勢等を調査してまいりましたので、ご報告致します。


@ 夏なのか冬なのか!?
  私がオランダを出る2日前まで、最高気温15℃、最低気温3℃くらいのかなり寒い気温でしたが、日曜午後にアムステルダムに到着すると、23℃と暖かく翌日からは25→30℃へと高温が続きました。持ってきたセーターもジャケットも全く必要なく、夏の気温にオランダ人たちも川辺やカフェで日光浴を楽しんでいました。  
植付けから現在までの天候は次の通りです。  

植付け(3月〜4月上旬):3月後半が暖かく天候に恵まれ、作業は順調。 
  4月          :平年並みの気温で、やや雨が多い。
5月前半         :平年より曇天雨天が多く、気温が低い。中旬には東オランダで、軽いフロストも。
5月最終週〜現在   :最高気温20→15℃へと再び冬へ逆戻り…?

 全般に気温は低く推移し、圃場の生育はやや遅れ気味で、まだ草丈が低い印象はありましたが、これまでのところ特別注目される気象はありません。


A 品種のレベルが上がった分、評価は厳しくなってきます。

今年も多くの新品種が発表されました。育種セレクションの方向性が定まり、全体のレベルも高まったため、(最高ではないが)使える品種が多く、品種評価は微妙な違いでシビアな競争にあると感じます。
 多くの品種を日本にも導入させたいと思いますが、ニッチマーケット狙いの品種では話題としては面白いものの、オランダの球根生産規模に需要が追い付かず、将来生産が続かなければ面白くありません。
 慎重に数年後の可能性を考えた場合、小さな品種特性の欠陥が気になります。葉焼け、ガク割れ、リン付不足、草丈低すぎ、フォーメーションの悪さ、花形くずれ、茎が柔らかい、花持ち悪い、そして日本の気候での生育も含め、厳しいですが、なぜその品種を選べないのかを検証していくような作業です。
 OTは特にその傾向が強く、世界的に球根販売は増加、次々と新たな品種がでてきますが、実際に販売が好調なのはロビナ、コンカドール、マニサという実態は球根生産者も理解しており、新品種のライセンス販売に対し今年は慎重な姿勢が強くなっています。

注目は次世代OT。これまでのOTは3倍体が中心で、見た目も花持ちもTの血を強く感じるものでしたが、現在4倍体のOTOO(?)といった、ほぼオリエンタルのOTが出てきています。バンザンテン社のミゾーニ(左)は、匂いが少なく、開花スピードが遅く、花持ちが改善されています。フレッター社の育種ハウスでも、同様の改良がなされていました。その他、4倍体の育種ではL+T+Oなど3つの交配系統が混ざった複雑な交配もみられました。既に出荷がされているテーブルダンスなどを含め、花持ちが改善されれば、OTの市場での評価も変わってくるでしょう。




B バイラス問題への取り組み
ティバーとスターファイターで多くのロットに感染が見られるなど、面積の多い品種でも影響がでています。植付け後に問題が発覚し、圃場をつぶしたところもあります。
 輸出会社を始め、球根生産者の会議でも、リン片母球の使用基準を0.5%ではなく、0%にする事が話し合われています。現在、球根生産者が自ら感染ロットを廃棄する動きが増え、問題は根深いものの、自浄効果も見えてきました。
 イライザーテストの結果、各輸出会社のロット試験結果等を踏まえ、感染ロット取扱いを避ける対応が進められていますので、様々に苦労はありますが、改善の方向につながると期待しています。
 11年オランダ産で、LMoV(モザイク)が平年より見られる点については、昨年春の天候不順のほかに、圃場での抜取りが不十分であることも指摘されています。遠方の地で委託生産者による管理が増えたため、オーナー生産者自らが抜取り作業を行わない、又は数人で全圃場を見るのは不可能という実態があります。昔はできていたことですから、原点回帰で委託生産者による抜取りがシステム化される事が望まれます。



C 2012年オランダ産の状況

5月21日のオランダ情勢報告から、状況は変わりつつあります。球根生産者が感染ロットを廃棄した影響などでオリエンタルの面積は3〜15%減少するという予想もあります。先週から、シベリアなどを中心に一般品種の取引も活発になってきているようです。
また、品質を重視すればするほど取扱えるロットが減るため、価格を上げたいという雰囲気が出てきました。




D 冷え込むヨーロッパ経済

ギリシャから始まったユーロクライシス(ばらまき政策のつけ、バブル崩壊)は深刻で、スペインでは既に住宅価格が半分以下になったものもあるそうですが、影響は南ヨーロッパの国だけでなく、オランダや英国ですら少しずつ影を落とし始めています。
 北オランダの一部では農地の評価額が40%減少し、建物の相場もここ2カ月で10%減少しました(既に売れない見込みのものは含まれていないため、実際はもっと悪いのではと言います)。
 企業は銀行から資金を借りる際に、不動産を担保にしますが、評価が下がるため、資金繰りにも影響が出ているようです。
 



E オランダ研修旅行

総勢11名と中型バスにドライバーのダウディさんで、代表的な育種会社を訪問し、フローラホーランド花市場、パウ社の百合工場(参加者1名がムービングテーブルで収穫の体験をしました(笑))、オニングス社試験ハウス、バンザンテン社育種ハウス、球根生産圃場(リン片、1年、2年栽培の畑)を研修して頂きました。
途中、ヤンデウィットさんにエンクハウゼンの町や教会、バンザンテンのヨハネスさんにジーランドの300年以上前からの美しい港町を案内していただき、また、関係各社の方々にはお食事もご用意して頂いて、参加者一同、大変感謝しております。
 ツアー後半にはアントワープのノートルダム大聖堂や、ブリュッセルでお買いもの。フロリアードはとても広く、1日歩きまわりました。寒かったせいか、路地の花はまだ少なかったですが、各国を紹介するテナントがたくさんあり、万国博覧会の様相でした。




F ゆりフェスタ2012、いよいよ明日から開幕です!!

「それろー!むむむぅ!!」と気合を入れて、台風を南へ追いやりつつあります。天気予報では、初日の6月6日から晴れが続くようです。
 昨日までに開花状況は85%を超え、平年以上に品質の良い生育となりました。
 ゆりタワーも完成しています。いろんなイベントで使ってほしいです。
 関係者来場予定人数は昨年比138%と1000名を超える多くの方にお越しいただけることとなり、弊社社員一同、心より皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
 来場予定者の中には、全国の多くの市場様を始め(予定はHPご参照)、大手花屋さんなど、これまで以上に花の販売関係の方々がご来場下さいます。
 切花生産者の皆様には、ぜひ1日と言わず、6・7・8と3日間ご来場頂き、交流を深めていただけたらと思います。
 明日6月6日は“ユー花園、山田社長様”による、葬儀需要のご講演は必見!
 県外からお越しなど宿泊される皆様には、懇親会(夜のフェスタ!?)をご用意しております。ご参加頂けるお客様は、前もって予約が必要ですので受付にてお問合わせ下さい。