南半球出張報告(2014/2/19)

中村 光輝

 私は平成26年1月30日から2月10日にかけて、チリ・ニュージーランドを訪問し「球根生産圃場」を調査して参りました。以下、簡単にとりまとめてご報告いたします。

 
 

〜チリの晴天とニュージーランドの曇天〜

【チリ】
 今年のチリは春が寒く、9月の平均気温が7.8℃と平年よりも▲0.8℃、13年産よりも▲1.3℃低くなりました。9月下旬には霜(フロスト)が降り、一部、定植サイズが小球の圃場で初期生育中に霜の害(フロストダメージ)を受ける被害がありました。その後は平年よりも雨が少なく、夏は晴天続きで暑く乾燥した年となりました。特に12月は平年よりも+0.9℃、2013年よりも+1.7℃も高く、降水量は平年の2、3割程でした。1月中旬以降は適度に雨が降り始め、球根生産者の中には「この時期は新しい根を張る時期で雨は大歓迎。」と言うように、球根生育には恵みの雨となっています。


【ニュージーランド】
 ニュージーランドは雨が降ったり止んだり、気温も上下を繰り返し、かつ今年の雨は短時間に集中して降りました。その為、11、12月は日照時間が平年よりも短くなりましたが、平均気温は平年並みに推移しています。一部、地域によっては集中豪雨による浸水(6月)や大雨のあと土が固まり酸欠状態になる(9月)などの影響が出ましたが、いずれも局所的な影響で特定の圃場、品種に留まっています。


〜肥大は良好!?〜

【チリ】
 チリはこれまでのところ天候に恵まれており、各社ともに順調に肥大が進んでいます。生産者の一人は「春の寒さで初期生育が遅れたものの、夏の晴天で状態は良い」と言うように、弊社の計測結果でも球根サイズが昨年同時期と比較して、+0.6〜1.0pほど進んでいます。

【ニュージーランド】

 一方、ニュージーランドは「昨年よりも涼しく、比較的過ごしやすい夏」で、計測結果は昨年と比較してほぼ同値でした(昨年は肥大が良かった年)。雨により高温が抑えられ、平均気温が平年並みに推移したことで、現時点では昨年並みの球根サイズとなっています。
以上のように、現在のところチリ、ニュージーランドともに生育順調と言えます。


〜 圃場調査にて〜

 今回の訪問で日本向けのロット申請がされている約300ロットほぼ全てを調査したところ、27ロットが品質上要注意でしたが、全般的に改善が見られました。まだ完全ではないものの、迅速な品種、ロット更新により、年々、問題解決に向けた真摯な取り組みがされています。
 一方で、実際に圃場を訪問し、チェックすることで得られる内容も多いことに気付かされます。2013年産が芳しくなかった(またはその反対の)品種や生産者が14年産では異なる状況の場合も少なからずあり、今後も現地での情報収集を継続することの重要性を改めて強く感じました。


〜定植の多様化と技術向上〜

【冬植えの普及】
 私は今回一人では初めての南半球訪問で、前回(2年前)と大きく変わったと気付きました。それは、定植時期の多様化です。近年、従来からある2年栽培だけではなく、南半球では冬植えなどが普及してきています。通常、冬を経験する栽培は霜の害(フロストダメージ)を受ける恐れがあり、生産者の中には敬遠する人がいます。しかし、近頃は天気予報で最低気温が0℃以下になる日は “プロペラ”(写真)や“ヘリコプター”を使用して、冷気を混ぜて凍害を防ぐなどの対策を取る生産者が出て来ました。
 こうした工夫で、定植時期を早めた6、7月の冬植えは2年栽培と同様に自然の冷蔵で休眠が破られ、穏やかな条件で生育が始まります。また、生育期間が長く取れることが特徴です。(冬の最高気温が5℃程度のオランダでは考えられません)。
 これらは生産者にとって冷蔵処理作業の簡略や定植までの保管期間の短縮など作業やコスト面でもメリットがあります。

 

【地道な努力】
 南半球にはオランダと比べると、いくらか起伏がある圃場があります。その為、同じ圃場でも谷間になった場所では雨が降ると水溜りができやすく、水害(ウォーターダメージ)を受ける危険性があります。
 こうしたリスクに対し、写真のように圃場の中に排水溝(写真は予定場所)を東西・南北方向に設けて、大雨の際も雨水が畝に溜まらない工夫をしている生産者がいます。目新しいハイテクではないものの、“できること”を地道に実践することで、品質の安定化につなげる努力をしています。

 

【最後に】
 今回の私の訪問に対し、現地の球根生産者は快く圃場を案内してくれました。弊社は、彼らと10年以上の付き合いで、年に2度の訪問を継続しています。こうして築き上げてきた信頼関係は弊社の球根品質にとって不可欠なものとなっています。
 (オリンピックではありませんが、)日本代表の意識を持って、今後もさらに緊密な関係を強化することで、皆様方のお役に立てるよう、努力を続けて参ります。


以上