中村農園レポート:2005年8月3日
中村 慶吾
1.2005年オランダ産百合球根の作付面積
オランダ産百合球根 作付面積統計 | |||||||
(単位ha) | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 前年比 |
開花球+2年養成球 | 3.794 | 3.642 | 3.785 | 3.681 | 3.212 | 3.275 | +2% |
鱗片養成 | 700 | 669 | 626 | 613 | 492 | 545 | +11% |
温室内養成 | 26 | 23 | 18 | 16 | 11 | 8 | -27% |
合 計 | 4,520 | 4,334 | 4,429 | 4,310 | 3,715 | 3,828 | +3% |
※ 2年養成球=2年間畑に据え置かれるもの。例:カサブランカターボ
(単位ha) | 2004 | 2005 | |||||
種目 | 温室 | 鱗片 | 開花球 | 温室 | 鱗片 | 開花球 | 開花球 前年比 |
オーレリアン | 0.09 | 0.25 | 18.92 | 0.23 | – | 6.51 | 34.4% |
アジアチック | 2.23 | 59.68 | 843.60 | 1.78 | 43.77 | 683.10 | 81.0% |
LAハイブリッド | 0.93 | 43.79 | 645.71 | 0.54 | 37.86 | 670.06 | 103.8% |
LOハイブリッド | 0.21 | 4.21 | 15.41 | 0.08 | 7.20 | 20.27 | 131.5% |
鉄砲百合 | 0.74 | 45.50 | 173.63 | 0.33 | 42.70 | 143.02 | 82.4% |
OAハイブリッド | – | 0.40 | 0.51 | – | 0.21 | 1.69 | 331.4% |
OTハイブリッド | 0.33 | 16.08 | 109.09 | 0.14 | 29.16 | 147.20 | 134.9% |
オリエンタル | 4.91 | 320.50 | 1,382.45 | 3.63 | 381.23 | 1,542.49 | 111.6% |
鹿の子百合群 | 0.17 | 0.23 | 5.01 | 0.14 | 0.30 | 2.00 | 39.9% |
タイガーリリー | – | 0.02 | 2.74 | – | 0.08 | 2.09 | 76.3% |
グループ不明 | 0.84 | 1.50 | 12.98 | 0.88 | 2.07 | 52.85 | 407.2% |
その他 | 0.08 | 0.01 | 1.59 | 0.21 | 0.56 | 3.28 | 206.3% |
合計 | 10.58 | 492.17 | 3,211.64 | 8.00 | 545.19 | 3,274.56 | 102.0% |
2.オリエンタルの作付け面積について
今年初め頃には10-15%減少すると言われていたオリエンタルですが、5月の植付け終了頃には、「実際には5-10%の減少で留まるだろう」という予想が全般的な意見でした。
しかし、今月発表された作付け統計により、実際には減少どころか大きく増加していることが判明しました。
この点について、統計発表後オランダ各社で調査と分析がされ、下記のような説明が届きましたので、皆様にご報告いたします。
ヤンデウィット社の見解
日ごろのご協力ありがとうございます。2005年オランダ産の作付け面積統計をお届けいたします。この表は当社ホームページ(www.jandewitenzonen.com)でも公開しています。
百合全体の面積は3%増加し、アジアティック、LA、OT、鉄砲類については概ね予想していた通りの結果となりました。
オリエンタルの面積は、3-10%の減少と言われていた全般的な予想と、かけ離れた結果となりました。
2004年のオリエンタルりん片面積は2003年よりも約15%減少しました。多くの品種においてはりん片面積の4-4.5倍くらいが翌年の販売球面積になると言われています。例えばシベリアは(04年りん片面積)27.30ha×4.5=122.85ha(05年販売球面積)となるはずですが、実際の面積は141.5haとなりました!
理由としては、球根生産者が極小さいものも含む、全ての種球を植えたことと、その肥大を促進させるため、植付け密度を粗くしたことが考えられ、これで全体の5-7%の増加が説明できます。
デヨンリリー社の見解
2005年オランダ産、作付け面積について。
オリエンタルの面積増加には大変驚きました。球根生産者との話し合いと分析から、いくつかの理由が考えられますので報告いたします。
・最も大きな理由は、生産者が去年よりも植え付け密度を粗く植えたことです。市況の強い回復をうけて、生産者はもっと大球を生産すべき(特に白オリエンタルのシベリア、カサブランカ、シンプロンなど)と考えています。これにより4-5%の面積増が説明できます。
また、去年は収穫期まで良い気候が続き、収穫高が非常に良かったこと(ある生産者は歴代最高の収穫だったと言います)を考えると、(今年が平年並みの作況だとしたら)面積あたりの球数は去年より5%ほど少ないだろうと予想されます。
・ もう一つの理由は、リスクやコスト面で続ける価値のない、フランス等、他国でのオリエンタル生産を減らしたことです。オランダの球根市況が回復しつつあり、外国からオランダへ生産を戻してきています。逆に統計に見られるように、オランダでの鉄砲を減らし、他国に移した生産者もいるようです。
現在の百合球根の市況からすれば、統計に見られる面積増加は現実的で心配される変化ではなく、ゆえにオリエンタルの球根相場はとても高値で、安定しており、収穫期に実際の数字が出てくるまで、変化は起こらないでしょう。(値下がりは難しいでしょう。)
オニングス社の見解
03年オランダ産は球根相場 低迷のためムードが悪く、収穫期に多くの生産者が小さめの種球(6-7cm以下)を廃棄しました。04年産も相場全体は低く推移しましたが、後半に球根の不足や相場の回復が見られたため、昨年冬に球根生産者は極小さな種球(3-5cmほども含む)も捨てずに残しました。2005年春に、結果としてそれらの種球が植え付けられ、小さい種球ほど、肥大を期待するために植え付け密度が薄くされました。
ある生産者は例年取れる種球からは400Ru(面積の単位):0.57ha、ほどにしかならない品種が、今年は700Ru:1haになったと話しています。増加した300Ruは概ね極小さい種球で、これは販売球サイズに達しないことが分かっており、来年用の(大きな)種球となります。全体として、生産面積の10-15%がこうした販売されないサイズのようです。
06年オランダ産は膨大な数の大きな種球が植え付けられると予想され、06年オランダ産の取引は慎重さを取り戻し、様子を見守る状態になっています。
以上
3.当社ホームページにて、それぞれの品種の詳しい情報を載せておりますので、ご参照下さい。