株式会社中村農園

レポート・球根情報



2006年オランダ産百合球根作付面積統計について(2006/8/2)

中村 慶吾

平素は格別のお引き立てを承り、厚く御礼申し上げます。
重ねて 暑中お見舞い申し上げます。

表題の件につき、オランダより公式な(BKDの)統計が届きましたのでご報告いたします。

1.球種別作付面積表と、交配系統別作付面積表

オランダ産百合球根 作付面積統計
(単位ha) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
(速報値)
前年比
開花球+2年養成球 3,794 3,642 3,785 3,681 3,194 3,293 3,596 9.2%
鱗片養成 700 669 626 613 494 543 557 2.5%
温室内養成 26 23 18 16 11 8 8 0%
合     計 4,520 4,334 4,429 4,310 3,699 3,844 4,161 8.2%

※ 2年養成球=2年間畑に据え置かれるもの。例:カサブランカターボ

(単位ha) 2005 2006(速報値)
種目 温室 鱗片 開花球 温室 鱗片 開花球 開花球
前年比
アジアチック 1.94 38.29 690.8 1.18 38.81 644.33 -6.8 %
LAハイブリッド 0.53 33.92 675.24 0.63 39.52 780.72 15.6 %
鉄砲百合 0.34 41.1 142.99 0.24 40.72 122.19 -14.5 %
OTハイブリッド 0.18 27.53 146.56 0.08 29.55 187.38 27.8 %
オリエンタル 3.62 390.72 1,548.52 2.88 391.29 1,766.09 14.0 %
その他 1.52 11.31 88.32 2.65 16.8 94.99 7.55 %
合計 8.18 542.87 3,293.30 7.73 556.69 3,595.95 9.1 %

 上記表のとおり、全面積の合計は05年の3844ha→06年の4161haと8.2%の増加となりました。
オランダの球根情勢への影響につきましては、予想されていた面積増加と、実際の増加にどれほどの差があったかが1つの指標になります。オリエンタル+OTの合計面積が1953.47haですが、業界関係者による平均的予想は約1884haで、3.6%程度予想よりも多かったことになります。
LAとアジアティックの作付面積がついに逆転しました。アジアティックの大半の品種が減少しており、その穴をLAの比較的新しい品種の増加が補っています。

2.代表的品種の作付面積(ヘクタール表示)

3.オランダの気候の影響

2006年オランダのこれまでの気候は、文字どおりの異常気象となっています。
別紙、2006年 月間気候ブラフをご覧のように、4月の植付け以降 5.6月は、全般に天気が良く(降水量は6月以降が少ない)日照に恵まれ、月間平均気温が1.5℃以上も高い結果となりました。
5.6月を詳しくご紹介しますと、5月前半が暑く、後半がやや寒いくらいに下がり、その後6月前半はかなり高温に上がり、後半は平年並みに下がる… というかなり上下の多い気候状態でした。

 

4.2006年7月は熱波による高温!!

フランスで1万人以上の死者を出したと言われる2003年以来の熱波で、ヨーロッパ全域が高温となり、フランスでは35℃を越す猛暑が連日記録されました。
オランダでは7月後半が特に暑く、7月19日に最高気温35.7℃を記録し、東オランダなどの球根圃場ではさらに高かったとも言われています。7月の月間平均気温は平年よりも4.9℃も高い22.3℃となりました。
オリエンタル系は比較的高温に強いと言われており、7月の日照は例年の1.5倍ほどもありましたので、球根へのエネルギー蓄積は期待できます。
心配されているのは、6月以降現在まで、ほとんどまとまった雨が降っていないと言うことです。球根圃場には潅水設備がありますが、人工的な潅水量は雨に比べれば少なく、また このままの状態が続けば、水路等の水を畑に潅水することが禁止される可能性すら出てきています。
これまで、オランダの気候は比較的安定しており、球根生産に適した国とされていましたが、世界的な異常気象の影響は避けられないようです。オランダ産の面積統計発表により、生産量が増加したことは分かりましたが、気候変動により球根肥大が大きくずれる可能性も考えられます。
オランダ各社による調査結果を待ちたいと思いますが、今現在は現地でも実態がつかめず、これからの予測も立たないという状況です。

今後の様子をチェックしながら、適時お客さまへの情報を お伝えしていきたいと思います。