中村 慶吾
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
7月23~29日まで、南半球の球根生産地であるチリにて、主要な生産会社を訪問し、球根及び情勢の調査を行って参りましたので、ご報告いたします。
○ 気候について
今年度のチリの気候は、大きく3つのポイントがあります。
1. 植え付け時期の雨天
9月頃に比較的長く雨天が続き、植え付けが遅れてしまった品種(ロット)があります。その後、12月まで不安定な気候が続いたこともあり、1月段階で生育の遅れが見られるものがありました。結果的には、この遅れが最後まで肥大不足につながった部分があります。
2. 涼しい夏
1‐2月(真夏)の天気は回復し 日照はありましたが、温度は平年よりも低く推移しました。特に南方の生産地でその傾向が強かったようで、夏以降の気温が平年よりも3℃以上低い状態が長く続きました。夏が涼しいのはニュージーランドにも共通しています。
3. 涼しく乾いた秋
4月~収穫期まで 雨が少なく、とても寒かったと言います。6月以降収穫が始まりましたが、天候に恵まれ順調に収穫をすることができました。温度が低く、雨により地温が上昇することもなかったため、球根内の芽は落ち着いており発芽等の心配もありませんでした。
*最も北に位置するロサンヘレス地区(サンハーベスト社、サザンバルブ社の一部)は、他の産地と大きく場所と気候が異なります。夏は暑く、秋は穏やかで、冬が寒いという、寒暖のメリハリのある平年並みの気候でした。
○ 球根と芽の状態
1. 球根肥大:全般には南の(寒い)産地ほど肥大が良くない状況です。
産地と品種、植付け時期等で肥大はバラバラに異なっていました。それぞれの結果を待って見なければ具体的な事がわかりませんが、全般にはやや小さめです。
2. 球根の硬さ:硬く締っています。
秋から現在まで、地温が低く推移していることが良かったと言えます。ただし、一部の球根で、収穫時の傷がすでに腐敗になっているものがあり、それらにつきましては厳しく対応していきたいと思います。
3. 芽形成:平年並みかやや小さめ。
各社で計50ほどのサンプルを取らせてもらい 検査を行いました。昨年よりも3週間遅い時期の調査になりますが、芽形成は同程度か、やや小さめとなっています。チリは収穫期の雨により地温が上昇し、発芽の危険性がありますが、今年は安心して収穫ができていました。
○ 各社の状況
サンハーベスト社:訪問時、すでに販売球の収穫は済んでいました。暖かい地域ですが、今年の冬は寒く、一度は雪が降りました。年内に、畑に近い場所に5000㎡ほどの新しい倉庫が完成する予定で、来年からは収穫後の作業効率も上がります。オフィスも移転する予定です。
ソネ社:本年は面積をやや減らしたこと、収穫期に雨が少ないこともあり、畑・倉庫ともに作業は穏やかで落ち着いていました。新たに畑に洗浄施設を作ったことで、輸送効率が向上していることも関係しています。品種構成を新しくするために、ティシューやリン片作業にも力が入ります。来年度は面積が増加する予定です。
サザンバルブ社:07年産は150ha以上の生産に大幅拡大し、収穫やその他作業が間に合わないのではと心配されていましたが、良く仕事が分担されていて、効率的に処理ができていました。(会社周辺の)ピュエウエ地区以外での面積が多くなっており、それぞれに肥大等がやや異なっています。新しい冷凍施設(1320㎡)が完成し、すでに使用されていて、冷凍庫容量の問題も改善がなされていました。
サン&ブリーズ社:これまでは原始的な方法での生産という印象が強かったのですが、大型の収穫機や本格的な洗浄施設を作り、効率化を進めています。倉庫も延長され、冷凍庫容量も増加しました。
チリボーレン社:こちらも、大型収穫機と、新しい洗浄ラインを導入し、収穫作業の効率化が進められています。