鈴木 秀一
いつもお世話になっております。
4月6日より4月11日までニュージーランド(NZ)へ出張してきましたので 以下にご報告致します。
まずNZ全般の状況をとりまとめますと、一部の早植えしたものや早生の品種のみ、 茎・葉が茶変しておりましたが、他の大部分はまだ茶変していない状態でした。 球根の状態は生育環境が悪くなかったので形状よく重量感もあり良好です。 逆に一部品種については肥大しすぎる心配があります。畑の状態もよく手入れされており、 全体的に良い印象を受けました。 今後順調に気温(地温)が下がって行けば、良質で力のある球根の生産が期待されます。
・バンザンテン社ラカイア地区
気候状態は概ね平年並です。 植え付け直後1ヶ月間は平年より気温が高かった為、いつもより早く灌水を行いました。 その後生育中期では平年より降雨があったので、1月(夏)は通常灌水しなければならないのですが、 本年は必要ありませんでした。 気温は平年並で生育は順調、肥大化も良好です。
2月の終わりには平年通り雨が少なく灌水をしました。 しかし3月に入っても平年よりも雨が少なかったので灌水を続けました。
まとめると夏(1~2月)の日中気温は平年並(少々低め)。ただし夜温が高めだったので 平均気温は平年より高めです。日照量は多少平年より少なめでした。
生産面積は合計で42ヘクタール。その内28haは販売用、4haは5㎝~7㎝サイズの 2年据え置き、8haはリンペンです。バンザンテン社はラカイヤ地区が百合球根生産に 最適との考えに自信を深め、昨年まで生産していたバルクルーザ(ラカイアよりかなり南)での 生産は本年から中止しました。
ラカイアで新しい倉庫(4000㎡)を建設中です。その中に400㎡×3部屋の冷蔵庫を含みます。 この倉庫では選別や球数を数えたり、消毒洗浄パッキング等を行います。掘り取り機は2台で その内1台は現在オランダから輸送中です。6月の第1週からの掘り取りを予定しており、 それに向けて準備を整えているところです。
主な品種はソルボンヌ・ティアラ・パンドラ・その他バンザンテン品種。
・サザンフローラ社ゴア近郊地区
パワーのあるオリエンタル球根を作る為、昨年までのゴア地区より気温の高い50㎞北へ圃場を 移動。道路より25m上がった水害の心配のない丘の上で生産。地面より1~2m下は石があり 水捌けは良い。地下50mからポンプ(設置に大変なコスト)で水を汲み上げています。リンペンは すべてオランダより仕入れています。販売球生産面積は14ヘクタール。
生育は良好で、球根内の芽も順調に発達してきています。対日輸出はデヨン社を通じて。主な品種は カサブランカ・マルコポーロ・ルレーブ・マイアミ等。
・ホップマン社オークランド地区
新鮮な土地を求め圃場をワイウクよりオークランド空港近くへ移動。圃場に前作の リゾクトニア菌が残っていた為、一部被害が発生した。しかし残った球根の生育状態は悪くなく、 重量感があり肥大化も良い。ただこの産地はNZの中で一番暖かく掘り取りのタイミングや その後の冷蔵処理が難しいと思われます。又、球根内の芽の大きさは、温かい生産地なので 他産地と比べてまだ小さめですが、順調です。日本への輸出はフェルデガール社とオニングス社を 通じて。主な品種はソルボンヌ・カサブランカ・ティバー等。
・チューリップインターナシュナル社タパヌイ地区
ヤンデウィット社との契約栽培で日本向け球根生産開始。重い土地がやや心配です。来年より 供給予定です。本年の面積は約1.5ヘクタール。品種はティバー・シンプロン・シベリア等。 ターボ球を日本へ販売してきたヤンデウィット社の契約栽培なので、品種構成は面白い。リンペン から1年目の本年の生育状態は良好ですが、来年の生育状況を注意深く見守る必要あり。
・バッカー社ラカイヤ地区
新しい倉庫・冷蔵庫を建設中。生産面積も昨年11ヘクタール、本年20ha、来年26ha(予定)と 増やしている。日本向けはマルコポーロ中心で、オニングス社を通じて。生育状態・ 球根内の芽の発達共に良好です。