お客様各位
情 勢 報 告
2016年9月21日
株式会社中村農園
中村 慶吾
平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
今年は台風の襲来が多く、各地で猛威を振るっておりますが、目立たないところでラニーニャ(？) 等による高温の経済的ダメージもまた、深刻だと感じています。
地球温暖化は日本のみならず、球根生産国のオランダでも大きな影響となっています。記憶に新しい所では、昨年（2015年）の10月以降の高温（月間平均気温が10月9.9℃、11月も9.9℃、12月も9.6℃）は、過去に経験のない気候の一例であると思います。
① 2016年のオランダの気候について
今年のオランダの気候について、簡単にご報告させていただきます。下記「2016年オランダ気候グラフ」をご参照下さい。
オランダの3-4月は低温で雨が続き、植付けスタートが全体に遅れましたが、4月末には定植作業は終了し、5月は気温・日照に恵まれました。
6月に南オランダ（リンブルグ地方北部）で雨天が続き、局地的に圃場が水没しました。球根生産者の情報では、数十km離れた地区では雨が少ないなど、状況は一様ではなかったようです。
近年、オランダでも一度に降る雨量が増えており、昨年の生育期間中も7月の一時期に200㎜を超える雨が圃場に降りました。毎年水没する地区や被害を受ける球根生産者がいらっしゃるので、大雨は今後も起こり得るものとして、水害リスクが高くない土地の準備ができることを願います。
以下は、9月前半のオランダ輸出会社からの報告をまとめたものです。
――――――2016年オランダ産 及び フランス産についての報告―――――――
9月前半の2週間は気温がとても高く、多くの気象観測記録が塗り替えられました。リンブルグ地方で33℃を記録するなど、異常な高温となっています。（スペイン辺りの海水温は平年よりも2℃高く、温かい湿った空気がオランダへ流れ込みました。9月13日、14日にはオランダの標準観測地で31℃台を記録しましたが、9月に30℃を超えたのは過去に1919年、1949年、2013年の3回しかなかったそうです。）
▽フランス
フランスは高温と乾燥がひどく、まだ肥大が進んでいませんが、今後数カ月で状況は全く変わるものですから、結論を出すには時期尚早です。
○北オランダ
リン片圃場が中心の北オランダですが、肥大は良いです。
○ノップ地区
LAの生産地であるNOP（North Oost Polder アムステルダム北東の干拓地）では、生育も肥大予測も良く、現在の好天気が続けば尚更です。
（既に小球需要の多いアジアティックの品種は、地上部の刈り取りが始まりました）
○東オランダ
植付けは遅れたものの生育状態はよく、今後球根生産者は（肥大を止めるために）地上部を刈り取る必要があるかを考える段階です。
□南オランダ
大雨と雹の被害を受け、リンブルグ地方で50-60ヘクタールが枯れました。（その周囲の）100ヘクタールは生育が良くなく、評価は難しいですが10～40％の減産が予測されます。その他の部分では葉色が薄いものがありますが、生育は良く、地上部の刈り取りを既に始めています。
南オランダでの百合球根の生産面積はブラーバント地方200Haとリンブルグ地方800Haで凡そ1000 Haあります。ブラーバント地方の生育は普通～良い状況です。
オランダ全般に生育が良く、天候被害を受けた圃場のロスをカバーしたものと思います。更に今年の9月の天候により、生育は続くでしょう。
② 2016年南半球産の輸入予定について
6－7月の収穫後、現在続々と入荷し、お客様への納品も始まっております。チリ・ニュージーランド産の輸入数量（見込み）を調査するため、日本向け取扱いがある輸出会社へアンケートを行いましたので、ご紹介させていただきます。
表中“前年比％”は、昨年8月末に行った同アンケート結果との比較です。
NZ産LAの肥大が良すぎるなどで欠品となり、アンケート比較では100万球以上の減少となりました。（尚、15年オランダ産のLAも足りなかった印象です）
オリエンタル／OTは前年並みとなっておりますが、昨年の最終的な輸入球数（植物防疫所統計）では、アンケート結果より33万球ほど増加し、時期からみてオリエンタル／OTであったと思われます。したがって今年の輸入球数がアンケート通りであれば、やや減少というのが実態かもしれません。
ここ数年、冬場の百合切花は需給バランスが取れ、価格は安定してきていると思います。皆さまが、彼岸や物日に集中せず、安定した生産をされているからではないでしょうか。台風の影響などで、余計な作業が増えたり、植付けが中断される事が続いていますので、気持ち前倒しで進めていただくと良いかもしれませんね。
以上
