9月5日付の花卉園芸新聞に弊社社員・中村慶吾のチリ産百合球根に関する記名記事が載りました。
★★★ チリ産百合球根 隔離免除化が決定 ★★★
日本への本格輸出を計画
すでに1999年に隔離免除化されているニュージーランド産百合球根に加え、 本年よりチリ産球根も免除化が決定し、いよいよ日本への輸出が始まろうとしている。 従来のオランダ産長期冷凍球根に代わり、これら6~7月掘りの新鮮な南半球産球根を使用することで、 冬から春にかけての高品質切花生産が期待できる。
輸入開始に先立ち、本年3月から7月までチリに滞在し生産状況を調査したので、以下に報告する。
主な生産地であるバルディビア、オソルノ、ピュエウエ地区は、南緯40度付近に位置し (北緯40度は日本の岩手から青森あたり)、南半球にあるチリは、日本と季節が逆になる。
本年のチリの合計生産面積はおよそ200haで、ニュージーランドの約2倍。茶褐色の柔軟な土壌は、 排水性が高く、有機質に富み、球根生産に適している。
今年夏の気候は例年より暑く、雨はほとんど降らなかったが、近隣には河川・湖が多く、 過度の乾燥にはならなかった。十分な気温と日照に恵まれ、球根内に力を蓄積することに役立ったと 思われる。また、秋の気温はゆるやかに下がり、球根内の芽は十分に成熟することができた。
チリは冬に雨季となり時として収穫が難航することがあったが、今年の冬は少雨で、収穫機が改良・ 整備されたこともあり、収穫は極めて順調に行われた。
各生産業者はオランダから、機械や球根のほか、情報や技術も導入し、生産は年々安定してきている。 また、倉庫・冷蔵庫の増設や、生産業者同士の業務協力等も行われ、生産基盤はここ数年飛躍的に 整備された。
例えば、世界最大級の生産者でもあるソネ社は、自社の(メリクロン)培養施設を持ち、 極めて汚染の少ない高品質球根を生産・コントロールすることができる。
球根生産には人手を要すが、チリはヨーロッパに比べ人件費を安く抑えることができる。 また(連作障害を防ぐため)広大な土地を必要とするが、球根生産に転用できる条件の良い 安価な牧草地等がふんだんにあるのは有利。初期投資には多額の資金を要したが、 このような条件のもと将来的には割安な球根生産が可能で、 価格水準はオランダ産に近づいていくことが期待できる。
免除化初年度となる本年のチリからの対日輸出見込み球数は400万球台と言われており、 試験的な数量に過ぎない。しかし、来年以降チリ側は日本市場へ本格的な輸出増大を計画しており、 近い将来ニュージーランド産との競合も予想される。
今後チリが世界市場の中で生き抜いていくには、 日本を始めとする球根消費国の意見に耳を傾け、需要の高い品種を選び、 なにより品質重視で切花生産者の要望に答えることが重要と思う。
また、北半球に比べ南半球は一般に気候が不安定と言われるなかで、収穫期の調整や、 より迅速な球根処理、最適な冷蔵技術等を確立し、力の安定した球根を供給していくことも 求められている。
JFTA品質委員会、㈱中村農園 中村慶吾
今年のチリ産で日本向け輸出が許可された品種
アカプルコ、アクティバ、アスカリ、アネアネ、 アルマータ、アルメリア、イートン、オソルノ、オルフェオ、
カサブランカ、カルボ二ア、キエフ、コートジボアール、コモロ、 コルソ、サビオ、ジェノバ、シベリア、
シャンベルタン、シンプロン、 スターファイター、スペイン、ソライア、ソルデラ、ソルボンヌ、ティアラ、
ティバー、ディファレンス、トゥルマオ、ドルドーニュ、バヒアブランカ、 バラトン、バルディビア、
バルバレスコ、パンドラ、ビルバオ、ヒルベティア、ブダペスト、フランシア、ブリスベーン、 ベスプッチ、
ぺサロ、ベセノ、ベルガモ、ベルニーニ、ベレーザ、マイアミ、マニサ、 マルコポーロ、メデューサ、ラビ、
リアルト、リベラ、リミニ、ルーブル、ルシオン、ルレーブ、ロザート、ロンバルディア。