お客様各位
チリ出張報告
2016年7月2日
株式会社中村農園
中村 慶吾
いつも大変お世話になっております。
6月26日より本日まで、南半球の球根生産国チリへ出張しておりましたので、簡単に状況をご報告させて頂きます。
アメリカからチリへ向かう6月26日(日)の飛行機内では、ちょうどコパ・アメリカの決勝で、チリがアルゼンチンをPK戦で下し優勝した情報が入りました。乗客が応援の掛け声「♪Chi chi chi, Le le le, Viva Chile !! ♪」を何度も熱唱し盛り上がっていました。(南米のノリっていいですね)
6月下旬は、南半球では1年で1番昼が短く、朝日が昇って明るくなるのは8時過ぎ、夕方6時前には真っ暗になります。気温も最も下がる時期で、夜(1時頃から)気温が下がると、霧(スペイン語でNieblaニエブラ)が広範囲に起こります。7月1-2日は特に夜温が低く、深い霧はお昼近くまで続きました。オソルノ市では玉突き事故が発生し、駐車場では車をバックして柱にぶつける人を見かけたり、サンチアゴ空港が霧に覆われ、私の乗った飛行機も延着するなど、様々な影響が出ていました。
① さよならエルニーニョ
2015年後半(南半球では冬から春)に、チリ北部のアタカマ砂漠一面に花が咲きました。5~10年に1度のことで、これはエルニーニョの(チリでは気温が上がり、降水量が増える)影響とも言われています。
日本でも最近報道されていますが、エルニーニョ/ラニーニャの周期が2016年から変わったようで、チリでも同様の変化が起きています。
元々 バルディビアは冬に雨が多かったのですが、ここ5年くらいでしょうか、他の産地でも雨により収穫を中断することが多かったように思います。
今年の6月は(地域差はありますが)雨がほとんど降っていないようです。収穫作業はとても順調で、秋が暖かく枯れ方が遅かったので、収穫スタートはやや遅れたものの、現在、前年と比べ10~20%は収穫作業が進んでいるところが多く、北の産地ロサンヘレのサンハーベスト社は、7月初めには全ての収穫を終えるほどです(昨年より1週間早い)。
今回も生産者・担当者さんのご協力で、多くの品種/ロットを調査することができました。ありがとうございます。
② 芽の状態も悪くありません
雨が降れば地温が上がり、球根の中の芽が動きやすくなります。雨の多かった年は、品種ごとの芽形成特性と収穫順との追いかけっこになりますが、今年はそうした心配がありません。地温が低いことのメリットは、芽形成以外にも球根の熟度が増し、収穫時の傷が少なくなるなどがあります。
写真は、シベリアの複数産地/ロットの芽です。
詳しい分析は(NZも含め)調査結果をまとめてからになりますが、芽全体の長さは比較的短く納まっており、茎の幅が太く、いわゆる銃弾型となっています。球根の肥大については標準的で、特別良いという印象はありませんでした。
③ 総合的な品質管理
オランダに比べても、チリのバイラス管理(対策を講じはじめた時期やティシューからの生産体系など)は進んでいると思いますが、感染ロットが一部植付けされており、夏の圃場調査やその後の打ち合わせの中で、弊社としても対応を続けてきました。今回、サザンバルブ社では、生育期間中のテスト結果等を踏まえ、収穫前に当該ロットの廃棄を決定するなど、的確な判断がなされていました。世界中でバイラスと無関係の生産者はいないと思いますが、チリの他の生産者も含め、品質の総合的コントロールができてきており、加えて、収穫作業において新鮮な水をふんだんに使えるチリの環境的有利性などは、今後見直されるものと思います。
以上、チリのサンチアゴ空港より、ニュージーランドへ向かう中村慶吾がお伝えしました。