オランダ出張報告（2003/11/10）

中村　慶吾

天候　：　11月3日の午前中は、雷を伴う大雨だったそうだが、その後1週間は晴天。気温は最高10-13℃、最低2-5℃。10月中旬あたりからこの状態が概ね続いている。

球根　：　リンブルグ、北オランダ、東オランダ（ドレンテ）の球根をいくつか調査した。

今年のオリエンタル球根の特徴は

　　・すでに非常に硬い：: チリでもそうだったが、10℃以下で2週間以上経つと球根は十分硬いものになる。今後肥大が進むような感じはない。
　　・根が非常に良い：: 過去見たことがないほど、どこへ行っても根は良い。例年太く短い東南・東オランダの根が15-20cmくらいで、本数も最低5・6本で多いものは10本以上ある。原因は雨量が少なかったためで、根は水を求めて自然に地下へ伸びた。問題は通常の球数が箱に入らないこと。すでにサムール12/14で350入りなど出ている。球根サイズは変わらないが根が多すぎるため。
　　・芽は大きい：: 別紙芽調査表の通り、収穫まで3週から1ヶ月ある現段階で芽長3cm近いものが多い。例年の12月上旬と同レベル。これから後、温度が上がるようなことがあると、発芽の危険があるという人もいる。
糖質検査も行った。シベリア12.3、コンカドール9.8、シンプロン10、ロンバルディア9.6。球根の硬さから想像するよりはずっと低い印象（オリエンタルの最大は19-22程度で、オランダの収穫時で15-17くらい）。糖質が休眠打破と比例しているなら、まだまだ大丈夫ということになる。
　　・球根の肥大：2003: 去年02年産が非常に良かったので、それよりは落ちる。例年並という意見が多い。ただし、球根サイズにバラツキがあると真剣に言われている。テスト堀上ではなんとも言いにくいが、そんな印象はある。16/18を狙った畑で、畝の端の方は19以上、中の方は16以下という様子。人工冠水のむらや通路に水が貯まる？などの影響か？日本向けサイズが意外に少ないかもという意見がある。

鉄砲ゆりの収穫は、例年11月の3週目で終わるのが、11月初めでまだ終わっていない。同様にAZ、LAも1週間から10日遅れている。遅れは気温の影響よりも雨が少なかったために地上部が枯れないためで、畑にボトが少ないそうだ。Lo、AZ、LAともに肥大が良く、Loは18/20が多いという。ギロンデ肥大良く二芽が少ない（例年20％、今年５％）。ゴールデンタイクーンでフザリウム多発（10-15％で返品）。夏の暑さ（特に最低気温が異常に高い）で冠水が暖かく、弱いものはフザが出るようだ。 AZ、LAで10月中旬頃の乾燥した中で掘られたもので少し傷（腐り）のあるロットがあった。

球根生産者　：　ムードは良くない。一部収穫前に銀行からストップがあったり、収穫後大きな生産者が2.3倒産するという意見が大半。2（もしくは３）輸出業者も倒産するだろう（中国で失敗した会社？）という意見も強い。全貌は収穫後にわかってくるだろう。

04年スタート　：　11月5日からの3日間で全輸出業者がダズルを囲み買いし、ほぼ完売。今年売り切れた品種で、黄色LAで最も安く（＝古いAZからダズルに移るので需要は確実に拡大する）、面積がほぼ変わらないから。価格も急速に変動（アップ）した様子。
ジョンオニングス（オニングス社仕入担当）もハンスグローリー（バンザンテン社仕入担当）も5分に1度は電話をしていた。

新品種調査　：　フレッター系で動きなし。リリアンデの最新黄OT（スーパーノバなど）や白が見られた。かなり写真もとっているので、帰国後、現像・整理します。
リリアンデの品種名が商標登録できない（すでに使われている、学名に使われるラテン語の使用禁止などの）ため、いくつか変更があります。 SuperNova（スーパーノバ）→Go For Goldなど。
ストロンボリはリアルトに匹敵するいい品種（ホクレンテストでも良かった）。
マイタイは大輪で、きれいに展示されていて、今回日本の各社からの評価が上がったのでは？

Horti Fair in Rai（国際園芸博）　：　今年の花は夏の暑さで品質が悪く、特にオニングスのブースの花は小さい（ウェストランドの生産者）。ステンボーデンはマレロを多く使ったアレンジでまずまず。ザボーはリリアンデの最新品種を見やすく並べ、花の品質が一番良かった。品評会でもたくさん賞をとったようだ。ボスはやや花が少なめ、広くスペースを取った（２階もある）。ほかムールナー、キャピタイン。バンザンテンは不参加だが、会社には訪問者が多く、ずっと効果的。

以上

お断り 　上記は現在オランダ出張中の中村慶吾からの会社宛レポートの原文です。
少しでも早く皆様にお伝えするため、あえてお客様用に加筆修正する事なくお伝えしました。
㈱中村農園