株式会社中村農園

レポート・球根情報



03年オランダ産百合球根の状況(続報)(2003/12/4)

毎度お世話になっております。
11月10日付けの弊社・中村農園出張報告で03年オランダ産百合球根の状況についてお知らせしましたが、直近の情報が入りましたので再度ご報告申し上げます。なお、この情報は主に最大輸出業者で有るオニングス社によるものです。

1、 鉄砲ゆり
すでに掘り取り、箱詰め完了。肥大良過ぎ、小球が不足。世界的な需要に支えられ、価格安定のまま完売へ。ホワイトヘブン、ホワイトエレガンス、アビタ等すでに一部サイズを除いてほぼ完売。

2、LA
箱詰め最終段階。肥り過ぎ大球過剰、相場低迷。収穫放棄や掘り取り後の廃棄、輸出業者も販売見込みのないものは受け取り拒否。悲惨な形で「出荷調整」が行われています。

3、 スカシ
箱詰めの最終段階。全般的に肥り過ぎ、大球過剰。LAと同様の「出荷調整」中。12-14は価格安定で取り引きが終る見込みで、完売品種も。(アビオン、ベアトリクス、カンヌ、グランパラディソ、ロマノ、ソレミオ、ソルプレッサ、トレファー等)
ショパンやモナ、カステロ、ティノスの中球はすでに欠品連絡も。

4、オリエンタル
10月から急激に気温が低下したものの、雨が少なかったためボトが入らず、枯れるのが遅れました。現在やっと茎を引っ張るとスポスポ抜ける状態になり、糖分濃度は(11月上旬10~12度位だったものが)18~20度に上昇、成熟に達しました。例年に比べ約1週間遅れで掘り取り開始。先月、中村慶吾のオ現地圃場調査の時点で異常に(?)高くなっていた球根内の芽はその後高さはほとんど変わらず、太く(広く)なり、掘り取り時点での大きさは「例年より大きい」程度で、特段の問題にはならず、むしろ充実した力の有る球根に仕上がることを期待しています。
まだ受入量が少なく肥大化について述べるのは時期尚早ではありますが、今までの所、「まあまあ~やや良い」ようです。(暑い夏にもかんがい施設がないため、水がかけられなかったテキサル島等一部地域を除いて。)
ただ、この(ターボ球を除く)収穫遅れは早期出荷に影響が出そうです。オニングス社によれば「昨年は早期出荷(1月中旬までに日本到着)指示に対し、95%の納品ができたが、今年は80%程度にとどまる見込み」とのこと。弊社も新球を使った促成栽培用のご用命に対し全量確保に努めますが、それ以上の急なご用命に対応できる物量には限りが有ります。確実に1月中旬までに必要な球根は(あとわずかになってしまいましたが)南半球産やターボ球の確保をご検討下さい。
依然として相場は低迷しており、オリエンタルも強引な「出荷調整」が進行中。ただ、例外的にカサブランカ特大球、ノバゼンブラ、ドルドーニュ、ルレーブ、ウィルケアルベティーやマレロ等、生産が限られているものは完売。アカプルコ、マルコポーロ、メデューサ等は値を上げ始めました。

5、大きな変化
オランダの球根生産・取り引きの歴史の中で、今年ほど大きく厳しい変化はかつて経験がありません。
従来、輸出業者は「生産者が作った球根はなんとかして(全量)さばいてあげたい、それが自分たちの使命。需給は価格によりバランスが取れるはず」がスタンスでした。ところが今年は「すでに価格は極限状態。これ以上は有り得ないし、いくら安くても売れないものは売れない。売れないものは引き取らない=在庫は作らない。」
一方、球根生産者は「一部売れ筋サイズ(しかも安値)のために収穫しても、あとが売れ残れば選別等のコストも稼げず、赤字を更に増やすだけ。それならばいっそのこと収穫を断念するか、(借地でどうしても土地を元の状態に戻す必要があれば)掘った後、捨てた方がマシ。(以前のように)生産者自身の判断で在庫を作ることなど、到底無理。」
これがすでに述べました強引な、悲惨な「出荷調整」の実態のようです。これにより、球根農家の倒産が発生し、04年産以降の「生産調整」になって行くのでしょう。
最後に、オニングス社のエバート・バンザンンテン社長はこう言っています。
「03年オランダ産球根は依然過剰感がぬぐい切れず、相場の飛躍的な回復は見込めないでしょう。しかしながら、(矛盾した話ですが)輸出業者、生産者双方の事情により今後販売できる商品・在庫は極端に少なく、近々完売となってしまうでしょう。(安値下の在庫減少)オニングス社は今月内にもソルボンヌを完売見込みです!!」