中村農園レポート:2004年9月13日
中村 慶吾
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
また、度重なる台風により被害を受けられましたお客様に対しましては、心よりお見舞い申し上げます。
さて、季節は夏から秋へと移り変わってきています。 オランダでは前半の気候を振り返るとともに、球根の試し掘りも行われ、2004年産ゆり球根の生育予想 (見込み)が話題になってきました。また、それにより球根相場にも動きが見られます。
1. オランダの気候
(植付けが行われる)4月頃の天候は良く、順調に植付けが行われました。 4-5月は天気が良く乾燥ぎみ(ただし、畑には潅水設備が整っています)。 6-7月は気温と日照が例年よりもやや低かったため、球根肥大は進んでいないと言われていましたが、 実際には今年のような気候が 植付け後じっくりと生育するのに適当であったようです。 8月上中旬は気温・日照に恵まれ旺盛な生育、下旬には雨が多く、オランダ北東部(フリースランド地方) で水害が出たとの報告がありますが、全体への影響は少ないと考えられます。 また、早い時期のボトも心配されておりましたが、気温が高く、(ボトが入りやすい)朝露が少なかったので、 大きな影響はないようです。
9月の気候が球根生育に大きく影響します。これまでのところ天気がよく、今後も良い環境が続きそうです。
2. 作況と球根相場
これらの情報については、オランダの主要輸出業者から聞き取ったものを、当社で取りまとめたものです。
● オリエンタル
植付けサイズは、全般には例年並ですが、やや大きいものもありました。
これまでの球根肥大は例年並かやや良という状態ですが、過去2年間(02、03年産)は、 肥大の良い年でしたので、比較するとやや劣るという意見もあります。 (指数化すると去年が110、今年は100~105との読みが一般的です。) 一部の不発芽や水害を指摘する意見もありますが、はたしてそれが全体的な問題かどうかは疑問で、 値上がりの理由探しの一つのように思っています。
オランダの球根販売は例年よりも進んでいます。このところの価格上昇でやや動きが落ちついた 国もありますが、全体としては段階的に商売が進んでおり、今後も相場が上がる見込みが強くなっています。
オランダの球根生産者は強気に転じています。すでに75-80%を輸出業者へ売り渡し済との事で (昨年は50~60%??)、作付け面積の減少が大きいため(過去2年間で▲30%!!)、 十分な追加需要が見込め、利益が出ないような取引には応じてくれなくなりました。
この時点で、カサブランカ、ホワイトライオン、マルコポーロ、ルレーブ、マレロ等が売り切れ、 シベリア、ソルボンヌ、イエローウィン等は 日々 価格上昇中。
安定価格を維持してきた、アクティバ、クリスタルスター、クリスタルブランカさえ値上がりし、 オリエンタル全般に値上がり傾向と言えます。
今年は昨年と状況が全く異なり、必要な球根はなるべく早くお求めになるべきだと思います。
● LA
安い品種は比較的大きい種球が植えられており、12/14が少ない予想です。 8月の雨によるボトもそれほどひどくなく、肥大状況は例年並~やや良。 生産者は球根が余り太りすぎないよう意識的に消毒を控えているとの情報もあります。 相場は一部安すぎた品種(サムール、ファンジオ等)が、上昇に転じましたが、全体的には安定。 イタリー市場の元気がなく、大球(16+)は値下がり気味。
● アジアティック
植付けサイズは全般にやや大きいようで、小サイズ(10/12)は少ない予想です。 アジアティックはボトが入りやすいのですが、これまで大きなボトが広がった様子はなく、 12/14、14/16は例年並の肥大となっています。面積が大幅に減少していますが、 それでも需要とのバランスが取れており、相場に目立った動きは見られません。
● 鉄砲百合
間もなく10月には掘り取りが始まるため(養成期間が最も短かく)、 前半の乾燥等の悪条件を取り戻すことができず、大球の不足を心配する声が出始めました。