株式会社中村農園

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チリ出張報告

2017年1月31日
株式会社中村農園
中村光輝

 私は2017年1月24日から1月27日にかけて、チリに訪問し「球根生産圃場」を調査して参りました。以下、簡単にご報告いたします。

 

生産地域による天候と球根

 チリは定植時期の天候に恵まれ、各生産地とも計画通りに植付け作業が進みました。その後、10月と12月は例年よりも雨や曇りの日が多かったため、生産地方の中部・南部ではこの時期の気温上昇が抑えられました。又、夏(現在)は極端な猛暑もなく穏やかな気候となっています。その為、肥大は今後の天候に期待する必要がありますが、球根の状態は良くきれいなものとなっています。
 北部は春から気温が上がり初期生育にとっては良い気候となりました。しかし、1月は雨が非常に少なく乾燥した夏を迎えています。今年の夏は中部を含め天気が良く潅水を週3回行うなどの管理が行われています。今回の訪問では暑さによる影響で草丈が低く葉先の焼けなどが一部で見られましたが、日照量が十分にあるため充実した重みのある球根になっています。

 

変化への対応

 2016年南半球産(CH・NZ)のいくつかの品種・ロットにおいて、バイラスの問題があります。特にPVについては、ここ数年減少傾向にあるものの、依然として改善が必要です。
 現在、チリの全ての生産者が品質改善に取り組んでおり、多くの生産者がバイラスの汚染がない(極めて少ない)ティシュー培養由来の種球を使用するようになりました。近年の圃場調査では若いロット特有の草姿をしたものが多く見られ、一般的にリン付きなどにも影響すると言われています。こうした種球の変化は生産地域による環境の差異よりも大きく表れることがあります。加えて、現地では球根生産にとってより良い環境の圃場を求めて、北上したり南下したり生産地域を広げる生産者が多くなっています。その為、生産地域・気候や生産者名の違いだけではなく、球根の由来や栽培年数、定植密度や管理方法など、様々な変化を考慮する必要があります。
 弊社では2年前からケース単位でのロット試験を行っております。刻々と変化する球根情勢に対応するため、16年産のロット試験と17年産の現地調査を合わせることで皆様のお役に立てる情報整理を行っています。弊社の試験結果に対しては、毎年、現地の球根生産者からも問い合わせがあり、次年度の生産に役立ててくれているものと思います。現在、17年南半球産のご計画を立てられている方も多いかと存じますが、ご不明な点がございましたらお気軽にお問合せ下さい。

 

より良い球根をお届けするために

 この時期(1月から3月にかけて)は弊社だけではなく主要な会社・オランダの輸出会社や育種会社など多くの担当者がチリを訪問し、初期生育の状況や品質の調査を行っています。チリ産に対する懸念は完全に解消されたとは言えませんが、新品種の導入や品種数、新鮮な水と圃場の豊富さ、生産規模など利点も多くあります。他人事とは考えず、多くの関係会社が取引を続け、改善に向けて努力してきた理由のひとつと思います。弊社ではチリ、ニュージーランドに関わらず、情報交換を行い各生産者に対して品質の改善・維持・向上をお願いしています。
 しかしながら、今回の圃場調査においてもバイラスの症状が確認され取り扱いを断念する品種・ロットがありました。こうした未然の対応は、皆様により良い球根をお届けするために必要不可欠な判断だと考えております。ご不便をおかけする場合もあるかと存じますが、ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
 皆様がこのレポートをお読みいただいている頃には、私はニュージーランドに移動し圃場調査を続けています。日本に戻り次第、ご報告させて頂きますので、よろしくお願い申し上げます。

以上