中村慶吾
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今週、ニュージーランドの全生産者を訪問し、 収穫及び球根の状態について調査して参りましたので、以下にご報告いたします。
1.気候と球根肥大
2005年ニュージーランド産は、植付け後2ヶ月ほどは例年並の気候でしたが、 12月から1月にかけて雨が多く、気温も日照も低く推移し、この間百合の生育は遅れ、 球根肥大もほとんど見られませんでした。2月に入ってから気温が回復し、 3月には平年並みの秋に入ります。前回(3月)の訪問では、例年に比べて生育が遅れており、 球根肥大は(不作となってしまった)2004年産よりも遅いということで、 ひどい不作になるのではと心配されていましたが、4、5月は晴天が多く 日照に恵まれ、 これまでの遅れを急速に取り戻したようです。
南島北東部のラカイヤ地区(バンザンテン社、バッカー社)と南島南部のゴア地区 (サザンフローラ社)では気候がかなりことなり、より南に位置するゴア地区はさらに温度が低く、 降水量もはるかに多かったようです。
2.収穫と球根の状態
6月初めより各社収穫に入りました。ラカイヤ地区ではほとんど雨が降らず、作業は順調に進み、7月7日現在で全体の60~70%の掘り取りが終了しています。一方ゴア地区は5月末~6月上旬にかけて、平年の2か月分の降水量を記録し、実際に収穫が可能となったのは6月中下旬からで、今までのところ約1/3が収穫済みです。
これまでに収穫されたものは アカプルコ、ルレーブ、マルコポーロ、ティアラ、ソルボンヌ等 全般に生育の早い品種で、秋に十分肥大し、サイズ的には概ね予想していた量が出てきています。しかし、夏の天候不順により十分なエネルギーを蓄えられなかったことや、秋になって急速に太った関係で、球根は外りん片がやや外に開き、球根重量は平年よりも軽くなっています。
このような気候と球根の状態は、見た目のサイズほど実際の力を持っていない可能性があり、リン付き及び全体のボリュームが例年より落ちることが心配されます。
これから収穫される品種は、アクティバ、シベリア、シーラ、ウィルケアルベルティ、カサブランカ等生育の遅いものが多く、畑にて試し堀りをしてみましたが、中には肥大が十分でないものがあり、当初心配されていた数量的な不安が残ります。
いずれの会社も7月末~8月初めには予定どおり収穫を終えられる見込みですので、結果がわかり次第、追ってご報告いたします。
3.各社の状況
(南島北東部ラカイヤ地区)バンザンテン社
倉庫面積は十分に広く、落ち着いた作業がされています。港での土付き問題を防ぐため、輸出用洗浄の前に低温の温水を使い、付着した土をふやかして洗浄効果を高めるなど、細かい工夫が随所に見られます。選別ラインの後ろでは、検査官が選別後の球根を項目別にチェックし、品質管理がされています。
(南島北東部ラカイヤ地区)バッカー社
ニュージーランド産リアルトはこの会社の生産で、今後収穫される。 また、本年度から新しいタイプの植付け機を導入し、より均一な植付けが可能となった。収穫時の根の絡み合いを減らすことで、作業効率向上と下根へのダメージが軽減されている。
(南島南部ゴア地区)サザンフローラ社
今年は天候に恵まれず平年に比べると肥大は悪く、厳しい収穫となっている。 早い段階で予定収量を下方修正していたため、これまで収穫された品種においては特に 大きな数字の変動はなさそう。最も雨の影響を受けたカサブランカはこれから収穫だが、 今回見た限りでは、肥大化は十分でなく、ウォーターダメージについても、 細心のチェックを望むところです。]
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■バンザンテン社