時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
また、平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。11月15日～20日まで、オランダに出張し、各地方の球根生産圃場、輸出会社、球根生産会社を訪問いたしましたので、情勢につきご報告いたします。
① 収穫とショート
　　既に 一部ＬＡ等でショート連絡をさせていただいておりますが、10年オランダ産の球根肥大は思わしくありません。これまで鉄砲・スカシ・ＬＡと収穫が概ね終了し、輸出会社へ届いておりますが、特にＬＡの大球でのショートが多いようです。中でも18-20は納品率が30％、16-18でも半分といった品種もあり、日本が使う14-16（や12-14）にも影響が出ています。大球を中心に使うイタリアなどでは、大変な問題になっていると聞きます。 　これまで入ってきているショート連絡は、主に生産者が1名ないし少数の、比較的新しい品種に留まっています。生産者によっては、完売だったセラダで追加が出るなど、必ずしも全てが悪い結果でもありません。
鉄砲系は、不作ではありませんでしたが、日本が使う品種では小さいサイズまで含めて完売となりました。
② オリエンタル/ＯＴの収穫と肥大
オリエンタルに関しては、ＬＡの結果から、同様に大球（18-20以上）でショートが発生するのではと言われています。
2010年の気候は、8月以降雨が多く 平年よりも早くボトが入りました。 地方によりやや違いがあり、東オランダが特に早く、南 及び 北オランダが続きました。生産者により、薬剤散布をいつ止めたかによる影響も大きく、全般には枯れ方が早いほど、肥大が悪い状況です。
また、近年の球根相場低迷から、単位面積当たりの収益を上げようと密植にした部分は、今年の気候では肥大は不十分です。
例えば、同じ畑（隣の畝）の同ロットのソルボンヌ（東オランダにて）で、
植付けサイズ６/８㎝ の　普通密度 →　平均15.3㎝　 肥大良い
植付けサイズ８/10㎝ の　密植 →　平均15.1㎝　肥大悪い
といったものもありました。（近年、種球生産技術の向上で、圃場内の植付けサイズ比率で10/12が多くなってきてはいます。）
当社調べでは、調査ロットの平均肥大率は、一部主要品種でも欠品が出た2008年産に近い水準でした（球根が不足ぎみになった始まりの年です）。こうした状況を踏まえ、オランダ球根相場は高騰し続けていますし、実際に流通している品種も平年に比べ随分少ない状況です。ショートが出たら大変だが、補完のための球根も買えないため、輸出会社もお手上げで 結果を待つばかりです。収穫は11月第2週よりスタートしましたが、週後半に雨が多かったため、一時中段しており、私たちが訪問していた11月第3週からが本格化とのことで、結果的に平年並みの日程と言えます。

③球根の力
一般的に言われているのは、シーズン中に雨が多く、日照が少なく、枯れ方が早かったため、“力のない年になるだろう”です。
当社の見解はやや異なります。（最近このパターンが多くて緊張します…）

Ａ．日照時間
先月報告の“球根情勢報告（10月7日付）”でもご紹介いたしましたが、気象統計上の日照時間は、下記グラフの通り決して悪くありません。

B．球根肥大

　 2010年産の芽は、2008年産と数値が似ています。秋の気温のさがり方が早かったため、中温域より低温域が長かったのか、芽長・芽幅よりも茎長・茎幅の方が進んでいる印象です。
今年の芽の形は、平年に比べるとくびれが少ないので“銃弾型”と自分なりに呼んでいます。ちなみに2007年は芽の細い年で、くびれていました。

この辺にくるとマニアックになってきますが、つまり印象は悪くなく、2008年産に近い芽形成をしていると思います。