株式会社中村農園

レポート・球根情報



球根情勢報告 (2010/10/7)

中村 慶吾

平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
日本全体では09年オランダ産の輸入球数が減少している中で、(若干ですが)当社が前年を上回る納品をさせていただけた事に、心から感謝いたしております。 さらにご期待に応えられるよう、社員一同 力を合せて頑張ります!

① 南半球産球根について

1.輸入球数  現在も続々と入荷を続けており、最終入荷 及び 輸入統計が取れるのは12月に入ってからになると思います。
8月(収穫・選別後)に輸出会社に聞き合わせましたところ、2010年南半球産の日本への販売は、約2607万球 対前年+132万球(+5.3%)との報告です。
09年オランダ産は 1億1313万球 対前年▲426万球(▲3.6%) 程度 ※ ですので、減少を南半球産で補うことはできませんでした。
※9月最終週の5日間を含まない輸入統計による数字ですが、9月の輸入量自体が少ないので、誤差程度の範囲と思います。

2.SH球の入荷状況について
選別の遅れなどにより、最終のショート連絡がお盆明けにまで遅れた年でしたが、入荷については順調に進んでいます。一部(極端に選別が遅れたもの)を除き、9月内には大半の品種・サイズが入荷し、納品も進んでいます。
SH球の収穫は6-7月ですから、9月入荷時には理論上 冷蔵は上がっています。ただ、この10月の気温を考えると、地域によりルーティングなしでは生育不良やバラツキが出ることが懸念され、リスクを下げるご配慮をお願いします。
09オランダ産の減少を受けてか、弊社の9月の南半球産納品球数は、前年比+54.75%となっています(分母が小さいのでブレますが)。厳寒期の1月下旬から(=出荷が鈍化する低日照/低温期)の出荷に当たる植付けですので、結果的に良い傾向になったと期待しています。

3.南半球産の品種と色バランス
下記グラフは、南半球産オリエンタル/OTの色バランスを、昨年と比較したものです。あくまで弊社での受注状況ですので、ご参考まで。
ご覧の通り、09年SH産に比べ随分とピンク系へシフトしたなぁと感じます。2010年春頃に、色物が不足気味だった雰囲気(市場さんからの推奨もあったのでしょうか)の影響かと思います。新しい品種の生産も増えてきたおかげで、内容的には、(ソルボンヌを除く)たくさんの品種に広く分散している傾向です。
一方で、白については昨年よりも大幅に減少しています。NZ産カサブランカの激減に加え、シベリアもやや減少しました。  2010年の1~5月は、単価も安定しており過剰感はなかったので、白系は品薄感が出てくる可能性があります。 (この情報は多くの市場様へも伝えています。)

② 2010年オランダ産について

1. オランダの気候  一部で“力がない年になるでしょう!?”という見解があるようです。
それぞれの立場から様々な意見があるのでしょうが、ここでは実際の気候データから2010年オランダのこれまでを振り返ってみましょう。

4-5月 :低温、遅霜による植付け遅れなどから、初期生育の遅れ。
6-7月 :好天気。気温、日照ともに平年を上回り、生育遅れから多少回復。
8月 :雨が多い。特に下旬に集中的に雨が降り、気温が下がる。  日照も少ない。
9月 :雨が続いており、日照は平年並み。大雨で、一部圃場に水没被害がでる(但し被害は限定的でニュース的な要素あり)。 気温はやや低めで、断続的な雨によりボトの入りが進み(ボト=枯れる、という認識)、昨年のような後半型の肥大はあまり期待できなさそうです。
といった具合に考えています。

下記表は、4-9月の日照量、7-9月の日照量を07~09年と比較したものです。

ご覧の通り、一般に理解されているのとはやや状況が異なっており、日照は悪くありません。(07、08年及び平年値を上回っています)

2. 球根肥大
良くはないようです。地方によりというよりも、植付け時期により、圃場により、生産者(管理)により、植付け密度によりといった感じで、聞こえてくる意見もまちまちです。
まだまだ判断するには時期が早い今、意見は憶測の域を出ず、気候よりもマーケット状況を反映して(?)の言葉が多いように見えます。
9-10月で1サイズ位は太るものですから、これからの気候が影響します。
球根の力も合せて、11月のオランダ出張時にきちんと調査し、ご報告できればと思います。より信頼性の高い情報をお届けできるよう頑張ります。
今年の11月は久しぶりに、冷たい横殴りの霧雨が降る(典型的な)オランダかもしれませんね。(寒いのは苦手ですが、球根のためには良いかも…)

3. 2010年オランダ産 マーケット状況

オリエンタル/OT、LA/スカシともに、全般に完売品種が多くなっています。世界的な需要回復もあり、相場はずいぶんと上昇しました。値段が上がってきて→ 完売に至るパターンが多く見られます。
弊社在庫も数に限りがありますので、最終的なご計画とご手配をお願い致します。  LA/スカシは特にご注意下さい。
今年の夏以降、本当に多くの方からお問い合わせをいただきましたが、南半球も含めて在庫が全くない状況でした。ごめんなさい。
10年オ産も、かなりの品種で完売となってきています(トリニティ、セラダ、パビア、オレンジタイクーン、メノルカ、クープレット、アルガルべ、フェルメール、ブルネロ など)。
11年南半球はNZ産(主にトリニティとクープレット)が増加(復活)も、チリ産は減産を予想しています。
LA/スカシ+鉄砲の切花生産は、減少(特に西日本からの供給不足)が続いたため 需給バランスが取れており、相場も安定して(数年前には聞けなかったような“悪くない値段”もついて)いるようです。
品種をある程度絞って、“定量継続出荷”でいくか、逆に、(ある時期の)出荷本数は増えても、品種数を多くして ロットごとの出荷量を抑えるという戦略も、“アリ”でしょうか。

当社試験ハウスでは、夏植えのLA/スカシがまもなく分枝してきます。
高温栽培ですので、当然草丈・ボリュームに欠けるもの、点咲になるもの、リン付きが春に比べて極端に減ったもの、葉の弱いものなどあり、品種選択・比較のご参考になると思います。
同日定植のSH産LA+スカシもありますよ!
合計176品種、見頃は今月中旬からです。

以上