中村 慶吾
平素は益々のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
とても寒かった冬を抜け、ようやく春らしくなってきました。
新年度になってから、日本の雰囲気が変わってきたような気がしています。
内閣府発表、3月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DI(いわゆる街角景気、消費者意識に近い指標)は2月比4.1ポイント上昇の57.3で、過去最高となったそうです(50%が景気拡大/悪化の境目)。
私のような物心ついた頃からバブルが弾け、デフレの中で生きてきた世代にとりましては、アベノミクスや連日の株や為替のニュースなど、空気の変わりようを不思議な気持ちで見ています。
景気はまず食べ物、そして衣類・電化製品など生活品、最後の最後に高級品や趣向品へと消費が拡大する…、都心の景気が田舎に来るには5年かかる…、などと昔は言われていましたが、現代はオイルに始まり、株・投資、そして住宅、車、高額商品と、その波は逆の様相で全国に早く(同時に)伝わるようです。
今振り返ると2013年1~3月の日本は、そんな変化に戸惑いながら、転換期の中で先が読めない緊張感による、活動低下だったのかもしれません。
□ 12年南半球産について
“2012年の球根情勢まとめ”(2012年12月29日付)でご紹介の通り、12年SH産の輸入球数は約2785万球、前年比102.3%、約62万球増加でした。
増加したうち半数程度がLA(輸出会社へのアンケートからの弊社分析では増加の8割がLA)となり、南半球産オリエンタルはほぼ前年並みだったと推測されます。
気温が低かったにも関わらず、仮に冬場のオリエンタル出荷量が多かったとすると、多くの11年オランダ産が年明け出荷に回ったと考えられます。
(その分12年11-12月は量が少なく、切花価格が良かった。)
物日集中で生産されていた方が、特に厳しかったとお察しいたします。
気候の影響によるスケジュール遅れも大きかったですが、オランダ産抑制からSH産定植へのスムーズな移行と、前年相場を意識しすぎない安定的計画生産が大事だと改めて感じました。
□ 2012年オランダ産について
お客様のハウスでの生育や、弊社試験ハウスの状況を見ましても、全般に生育が良く、ボリューム・リン付共に平年以上のものが多く見られます。
昨年秋のオランダ出張レポート(2012年11月8日付)を見直してみますと、
と予想しており、今年も的中の範囲内だとホッとしております。
(世界的な気候変動で、球根の力の予想(分析)は難しくなってきました)
□ 12年オランダ産 輸入状況と日本の取扱い球数について
植物防疫所の統計によりますと、3月までの日本の輸入量は前年同時期比88.5%となっています。特に12月1月での落ち込みは大きく(前年比▲575万球!!)、いかにオランダ産の収穫時期が遅れ、日本への輸送期間が長くなっているかが分かります。
総輸入球数がどうなるかは分かりませんが、大手輸出会社の現在までの受注状況は92~93%程度で、最終的に95%程度ではないかと言われています。
□ 2013年南半球産について
生育状況について、生産地側から具体的なコメントはありませんが、両国の代表的生産地に近い街の”気温と降水量データ”を収集し比較してみました。
月別に見て特徴的なのは、2月の出張報告でもご紹介の通り、
-12月のチリは雨が多く気温がかなり低かった事。
-12月以降3月までニュージーランドの気温が高く推移している事です。
続いて下表は、生育期間の前年9月(南半球の春)~3月(同秋)までの平均気温を比較したものです。
12年産は両産地の気温がほぼ同水準で、球根の力も近い印象でした。気温と球根の力が比例するとは言えませんが、13年産を見ますとNZが昨年より1℃近く高く、(12年産の成績が良かった)チリも昨年より少し良い数値となっております。詳しくは、収穫期のレポートにてご報告させていただく予定です。
2013年SH産 日本への販売状況
輸出会社協力による“日本への販売状況アンケート”によりますと、2013年SH産の球数 及び 前年比は下表の通りです。アンケート結果と最終的な輸入球数はズレ(収穫結果や変更など)を生じるため、昨年(近い時期)のアンケート結果と比較をしています。
LA、オリエンタル共に、12年オランダ産の減少を考えると、もっと増えて良かったはずですが、既に輸出会社側も完売が多く、追加は難しい状況です。
■チリ産ビアル社生産のロット不合格問題
マーロン、エナジー、セラノ、カンタリーノの4品種が、バイラス検査で不合格となり、日本向け輸出ロットを取得できず、輸入できなくなりました。
(マーロンは、他生産者で合格したものがありますが、球数は多くありません。)
既に関係のお客様にはご案内を差し上げておりますが、改めてご不便をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。
□2013年オランダ産について
オランダは3~4月に寒波が入り、植付けが遅れました。
13年3月上旬は観測史上最も暖かく(?) 3月5-6日は15℃を超えましたが、3月下旬は観測史上最も寒く(平均0℃、最低-4℃くらい、地域によっては更に低く)、3月の月間平均気温は2.5℃(平年値6.2℃)でした。その後も同様の気温で、植付けは4月8日までストップしましたが(約2週間の植付け遅れ)、 4月8日以降の天候はとても良く、現在フルスイングで植付けが進んでいます。
□世界情勢(需要)はゆっくり
中国は政府の緊縮策で花への予算が減少し、成長に陰りが…
景気の良かったオーストラリアが切花価格低迷の雰囲気。
オランダは1-3月にロシア景気で切花価格が高騰しましたが、現在価格が下がってきている。(キプロスの銀行問題とロシア景気減速の影響か?)
□為替の影響は大きい
12年オランダ産、13年南半球産の為替問題が輸入会社にのしかかります。
今後、さらに円安に向かう可能性も懸念されますが、弊社として今後ともお客様にご納得いただける球根価格をお届けできるよう頑張ります。
上記のように、13年オランダ産に関しては不確定要素がまだありますが、状況の調査・分析を進め、適宜 皆様にご案内させていただく予定です。
□ゆりフェスタ2013でリリーエンジェルに逢いましょう!
皆さんご承知の通り「リリーエンジェル(2012-13)」は、ゆり業界で大きな話題となっており、個々にエンジェル達が各地の市場やイベントなどで百合をプロモーションしてくださっています。 今回、ゆりフェスタ2013では、地元高知の方を含め、全国各地から8名も駆けつけて下さることとなりました!!(あくまで内定ということで。)
既に皆様にはカレンダーをお配りしておりますが、今年もぜひ ゆりフェスタにお越しいただき、3次元のエンジェル達に会いに来て下さい。