中村慶吾
初夏の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
5月後半にオランダに出張し、現地の新品種発表や開発状況等を調査してまいりましたので、下記にご報告致します。
1.OTは永遠に?
今季春の最大の話題は、マークリー社開発の白OT品種“フォーエバー”のライセンスが数時間で5ha×30口=150ha完売になったことでした。
昨年同時期の出張報告で、“OT開発合戦が激化”している事や、その中でも優良な白OTで主導権を取る事が大事だと報告いたしましたが、既存の白OTはどれもクリームがかっているのに対し、フォーエバーは純白と言える初めての品種だったことも、販売が進んだ理由のようです。ちなみに球根生産者へ種球が配布されるのは2012年で、その後2-3年かけて増産されたのち、大量に販売球がでてくるのは15年ということも話題の理由です(今は2010年です)。
尚、マークリリー社の開発部門はフレッター社に合併され、今後それら育種ラインはフレッター社の中で開発されていくこととなりました。
2.2010年 白の競争が始まる
何かとOTが話題でありますが、今年はオリエンタルの白がたくさん発表されており、白の選択肢は将来多くなってきます。
2009年までの、アステリアン(マック)、ホワイトプラウド(ワールドB)、ホワイトヒーロー(マークリリー)、シグナム(バンザンテン)、アーリントン(フレッター)など期待品種に加え、2010年は下記の新品種に注目しています。
マック社 オルトラン、テムズ、バルディーズ
マークリリー社 ホワイトレノバ、ウィンターランド
オリジナル プレミアムブロンド、アイスクリアー など
既にご使用いただいている、ユニバース、サンタンダー、アイスダンサー、ホワイトエクスプレス、リアルト、リオブランコ、コンスタンタ、ノバゼンブラ、クリスタルブランカ、シベリア、カサブランカなど、又、白/クリームOT(アシエンダ、イプノーズ、レクソナ、オバティなど)を加えますと、なかなかの品種数になってきます。
リン付き、スタイル、スピード、花の大きさ、花持ち、奇形や問題がないか、日本の気候に合う品種かなど、テスト栽培等を踏まえ、ご紹介させていただきたいと思っています。じわじわと、しかし確実に品種は移行してきていますね。
ゆりフェスタにて、多くの白品種がご覧いただけます。ぜひご活用下さい。
3.価値観の多様化
2008年以降の不景気から、人々の品種を見る目は厳しく、ライセンス販売はあまり活発ではありませんでした。ここにきてムードは回復し、生産者はライセンスを買うことに意欲的になってきました。
フォーエバーのような大ヒットがある一方で、数名の生産者限定の販売や、個人の生産者が少量だけ作るものもあります。万人向けの品種ではないけれど、少量ならば“あり”という品種は多くあり、品種/ライセンス販売が進んでいるようです。
命名されてから数年内に消えてしまう品種もありますが、当社といたしましては、変わった品種も積極的に扱う方針ですので、平年以上に品種チェックと写真撮影、そのデータ整理に時間がかかりました。(写真は、マック社新発売の白OT“ザンベジ”大ヒットする?)
▼オランダの気候
オランダは今年、4月~5月前半まで温度が低く、キューケンホフ公園周辺の畑で、まだチューリップが満開でした。過去10年ほど、毎年訪問していますが これほどの年は初めてです。
百合の球根は、一部で植付けが2週間程度遅れ、訪問時 芽が15㎝程度しか出ていない畑もあり、肥大などを心配しています。
4.ゆりフェスタ2010 まもなく開幕!!
6月4~10日に当社試験農場オープンデイ“ゆりフェスタ2010”が開催されます。今日現在、最晩生以外の大半の品種が開花してきておりますので、お楽しみいただけると思います。
本レポートでは、白を中心にご紹介いたしましたが、色もの品種の方が当然品種数は多く、タイプも様々です。“多様な価値観”で固定観念に捉われず、 ご自身に合った品種発見の、お手伝いができれば幸いです。
・④~⑥号室では オリエンタル、OT、鉄砲、LOのご紹介
赤系の期待品種“タランゴ”、“バカルディ”、
明るいピンクの“フェニス”、“ハピネス”、“レクサス”、
淡ピンク系“グラシア”、“オブセッション”、“バーレッタ”
OTではオレンジの“サルタレーロ”や、濃い色系の“フラッシュポイント”、赤紫の“エトーシャ”、
白の“イプノーズ”、“オバティ”、“ココッサ(白黄)”
八重のオリエンタル
・②.③号室ではアジアティック/LA
黒赤のアジアティック“ランディーニ”
八重の“カクテルツインズ”、“ファタモルガナ“、”レッドツイン“ などなど
・①号室では、国産のシグナムなどをご覧いただけます。
*ご来場には入場券が必要ですのでご注意ください。
ホームページでは、キューケンホフリリーパレードにて撮影しました写真等をご紹介しておりますので、そちらもご覧ください。