株式会社中村農園

レポート・球根情報



2010年オランダ産在庫表送付につき(2010/5/7)

中村 慶吾

時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
“2010年オランダ産在庫表 第3版“をお届けするにあたり、これまでの全般的な状況について、以下にご報告させていただきます。

① 生産減少で引き締まる相場

2008年オランダ産     不作で生産過剰感 薄れる
2009年オランダ産     不作気味で球根不足となる
2010年オランダ産     平年作でも不足する!?

別紙“オランダ産百合球根作付面積統計”ご参照。
オランダのオリエンタル生産面積は、価格の良かった2004年頃から増産に入り、2006年をピークに(結果的に)生産過剰となり、07、08、09年産と価格低迷を続けてきました。球根生産者にとって採算に合わない状況となり、古い品種、価格の安い品種を中心に生産面積は減少し続けています。
リン片面積は“球根生産者の気持ちを表しているグラフ”といわれますが、「先行きが見えない」、「どの品種を作ったらいいのか分からない」といった迷いの中で減り続け、2009年は過去5-6年の中で最も少ない年となりました。
2010年の開花球(販売球)面積を考えるにあたり、09年リン片面積は一つの指標となります(必ずしもぴたっと比例するわけではありません)。

②相場展開

上記①のような状況を受け、2010年の取引きは平年に比べ随分早く始りました。ソルボンヌ・シベリアで09年よりも高い水準でのスタート価格提示となり、1-2月段階では「09年産が不足して上がった水準に近いというのは、やや高すぎるのでは」という雰囲気でした。
その後、比較的状況の良いアジア各国からの動きを受け、濃い色の品種(アカプルコ、マニサ、ロビナ、イエローウィンなど)から販売がスタート・活発化し完売気味となり、それに続いてソルボンヌの価格が上昇(現在は、最初の提示より15%程度↑で、生産者から仕入れが困難な状態)、それを受け、色もの全般も上昇しました。特に、ここ数年 毎年面積が減り続けた、いわゆる安い品種(メデューサ、ウィルケアルベルティ、アクティバ、シンプロン、ロンバルディアなど)は、大きく価格がジャンプし、完売し始めています。
またマレロは、シェアの大きな生産者の倉庫が火事に遭い、種球も焼失したため、生産が大幅に減少するという事態になりました。
3月前半頃までの段階では、白系品種は需給バランスが取れており、安定(ないしは下げるのでは?)という見解もありましたが、4月に入り結局上昇し始めたため、(LA・スカシも含めて)概ね全ての品種が上昇の流れに入ったことになりました。
4月下旬時点では、球根生産者は昨年実績の2/3(球数ベース)程度を既に販売しており、20%程度だった昨年(09年産)同時期と比較しても、取引の早さがうかがえます。

当社といたしましては、上記の相場状況と予測に基づき、需要品種と品質品種(ロット差があり選択が必要なもの)については、ある程度在庫を作る対応ができましたので、比較的早い時期から在庫表をご提示させていただきました。
品質の良いものから販売が進み、後になるほど品質は落ちて、逆に価格は上がるという状況になりましたので、今後在庫表の中には、EES・セレクト規格よりもEVR・ノーマル規格の値段が高い(??!!)というものも出てきますが、ご了承下さい。

③オランダの作付け状況

植付けは3月下旬ころから始まりますが、日本同様 オランダも異常気象で、前半は低温気味に推移し、4月17.18.23日には、最低気温が0℃を下回りました。特に17.18日はオランダ東部(内陸部)ではマイナス6℃にまで下がったそうです。植付け直後(球根は土の中)であることや、スプリンクラーなどでフロスト対策を行っておりましたので目立った影響は報告されていませんが、低温気味に推移したことにより、生育の遅れ が一部で言われています。
まだ、シーズン始まったばかりですから何とも言えませんし、近年 オランダも気候変動が激しくなっています。アイスランドで火山も噴火する時代ですから、予測すること自体が難しいとも感じます。
(球根生産への噴火の影響は、今のところないと聞いています)

④ 品種・規格の選択とご注意

1.2年栽培指定

2年栽培球は 一般に、通常よりも若干リン付き等が良くなる傾向があり、生産のある品種で、
1年栽培球のリン付きがきわどいものにつきましては、これまで通り 2年栽培ロットを指定しております
(ビビアナ、リアルトなど)。

2.シーラ

10年オランダ産から、ターボ(=2年栽培ロット)がなくなりました。
毎年入荷の遅いシーラですので、ターボがなくなると 入荷が2月以降になることも予想されます。
“アーリー”規格は、その中でも早く堀取られ、少しでも早い入荷となるものですので、特に早い納期を
ご指定の場合、こちらをお勧め致しますし、4月後半~母の日前後の出荷には NZ産でのご対応に
なります。
また、全てが1年(通常)栽培となったことで、リン付きがやや低く出る可能性がありますので、14-16、
また16-18の抑制での使用については、特にご注意下さい。(当社 試験ハウスの両サイズをご参照)

3.2009年産のリン付きは良い

現在、生育の早い品種からリン付きが確認できてきておりますが、全般には2008年産よりも良いようです。昨年のオランダの気候から予想していた結果(“オランダ出張報告”2009年11月26日付 )のイメージとなっています。
2008年産は、平年並み~(品種により)やや良
2009年産は、平年よりも力がある年 として2010年産をご検討下さい。

4.品種の変化

シーラはライセンスが販売され、一般の生産者により生産されています。
毎年 生産量は増えてきており、当社の取扱いでは、ピンク系の第2位で、ソルボンヌ(減少傾向)
に近付いてきています(価格も)。

ソルボンヌ減少の穴を埋める品種、シーラ以外の主力となる品種はなにか?
白も同様で、カサブランカ・シベリアの代わりとなっていく品種はなにか?

球根価格をご覧いただくとお分りいただけると思いますが、

してきているような気がします。

⑤ ゆりフェスタのご案内

1. 百聞は一見(一触)にしかず

品種の移り変わりは、ゆっくりと、しかし着実に起こっています。
現在、6月4-10日の“第4回 ゆりフェスタin中村農園”に向けて、400以上の品種が順調に生育しています。“無謀な挑戦”ですが、可能な限り全てを同時開花させたいと思います(祈ります)。
各品種をそれぞれ数十球単位で植付けしておりますので、実際の皆様(の圃場)での営利栽培をイメージしていただけると思いますし、時間の許す限り、リン付きのブレや、葉焼けの率、茎の固さ なども、見て触ってチェックしてみてください。
お客様それぞれの環境に合った品種が見つかればいいな。

2.ご招待状(入場券)をお忘れなく!

ゆりフェスタへご来場の際には、通し番号付きのご招待状(=入場券)をお持ち下さい。(百合をゆっくり、じっくり見ていただくため、本年からこのような形を取らせていただきました。)
先日お送りいたしました“ご来場申込み用紙”をファックスでお送り下さい。
当社ホームページからのお申し込みはこちらから。

ご登録後、ご招待状をお送りしております。
何度でもご来場下さい! 必要数 お送り致します。

以上

ha(単位) 2004 2005 2006 2007 2008 2009
リンペン 336.58 418.25 433.96 403.46 362.97 324.17
開花球 1,491.54 1,695.08 1,969.46 1,931.10 1,696.57 1,618.54
総面積 1,833.36 2,116.13 2,406.53 2,337.87 2,062.70 1,944.69