中村 慶吾
皆様におかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
また、平素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
1月26日に在庫表 第1版を発表させていただきましてから、状況につきましてのまとまったご報告ができておりませんでしたことをお詫び申し上げます。
全体の生産量減少に続き、バンザンテンNZ社のLAの種球廃棄、カサブランカの生産激減、全般的な低温気候、チリの地震、いろいろと話題豊富な南半球産ですが、以下に簡単にこれまでのまとめと、現在の圃場や生育状況についてご報告致します。
① 冬場のカサブランカ生産量が激減
これまで南半球産のカサブランカは、減少傾向にはあったものの、需要と球根供給バランスがとれており、気候の穏やかな冬場の 安定した品質と出荷量に貢献していました。
南半球産で、最も生産および日本向け輸出が多かったバンザンテン社が、2010年産の種球の温湯処理で間違いを起こし、植付けた球根の大半が発芽していないことがわかりました。(写真はHP“ニュージーランド生産地の写真(バンザンテン社より)1月14日付”をご参照ください。かなり酷いです。)
2009年産ではVZ社の、(カサブランカの)対日輸出が120万球以上ありましたが、10年産の見込みは(18-20を含めても)40万球程度と言われています。
当社といたしましては、不足しましたNZ産20cm以上に対し、CH産の20-22 又はNZ産18-20にて対応させていただきました。なんとかご注文いただいておりました球数は確保できホッとしておりますが、2011年冬のカサブランカ切り花は激減することが確実で、特にいわゆるカサブランカ産地にとって、主軸が揺らぐ事態であることには変わりありません。
②バンザンテンNZ社産のLA品種はトリニティのみ
昨年まで クープレット、ダズルなどの生産がありましたが、担当者の認識のずれ(?) 等の結果、トリニティ以外の種球を廃棄してしまうという事件が起こりました。
この他、生産がなくなった品種をご注文いただいておりましたお客さまへは、既にご連絡をさせていただき、09オ産を含めた品種変更等でご対応をお願い致しました。
③ 南半球の気候と、生育状況について
□ニュージーランド
下記“2009-10年クライストチャーチ気候グラフ”をご参照ください。
植付けは順調に行われ、VZ社では平年よりも10日ほど早く植付けが終了しました。
11月から1月初めまで 寒い気候が続き、生育は10日ほどの遅れとなりました。その後、気温は平年並みに回復し、3月現在までその気候が続いています。今後、早霜が起こらなければ、肥大は追いつくだろうと予測されています。
(2009年は3月下旬から早霜が始まり、結果、欠品が多かった。)
一部、密植ぎみに植えられた品種(カルーソ、シェルブールなど)で、大きいサイズが少ない予想が出ています。(来年度に向けては修正されます)
また、サンタンダーは昨年に引き続き二芽が多いようです。(オランダでも同様)
○参考(生産地の写真をホームページでご紹介しています。
2010/03/22 サザンフローラ社
2010/3/24 アイランドバルブ社+バッカー社
□チリ
植付け時期は会社によりやや異なりますが、平年並み~2週間程度の遅れとなりました。
3月中旬にオランダの輸出会社等が訪問した際の報告では、北に位置するサンハーベスト社以外は、やや生育遅れにあるようです。サザンバルブでは昨年は肥大を抑えるために、地上部をカットしていましたが、今年は全ての品種をそのまま残し、肥大を進めています。
主な原因としては、植付け直後の時期に1週間程度の霜が続いたためで、既に発芽していた早生系品種(コンカドール、マルコポーロ、サンタンダーなど)への影響が特に心配されています。
●チリの地震について
2月27日、チリ中部沿岸で大地震が発生しました。3月2日付、ホームページでのご報告(速報)をご参照ください。
後日、オニングス社より「チリ側と連絡が取れ、球根会社の全ての方々が無事で幸いです。建物にも殆んど被害は無く、球根も大丈夫です。」との報告を受けています。
3月中旬に、当社社員が現地調査を予定しておりましたが、自粛致しました。
今後、収穫時期に訪問し、品質調査ができればと思います。
④球根流通状況
2010年南半球産の取引が始まって間もなく、各国からの注文が進み、あっという間にほとんどの輸出会社で需要のある品種・サイズが完売となりました。他の国を見ますと、必要量に対し十分な配分がされていないと聞いておりますので、希望の品種・サイズをご高配いただいた輸出会社に感謝しています。
当社が各社に行ったアンケートによりますと、日本全体への販売は下記の通りです。
LA/アジア | OR/OT | 合計 | |
NZ | 2,500,000 | 15,648,450 | 18,148,450 |
CH | 474,300 | 8,154,115 | 8,628,415 |
2,974,300 | 23,802,565 | 26,776,865 |
2009年 | 2010年 | 対前年 | |
第1回目アンケート | 25,200,000 | 26,776,865 | 106.26% |
収穫時期 | 25,099,435 | ||
実際の輸入量(植防) | 24,759,083 |
肥大不足等が懸念されていますので、何よりまず ご注文いただいた商品をきちんと納品することに集中したいと思います。
これまで、頂いたご注文に対し、供給不足となった商品につきましては、既にショートのご連絡と代替のご紹介をさせていただきました。これまで通り、正直な商売を行って参ります。
⑤ 南半球産をいつまで使うのが効果的か?
温暖化や球根生産者の集約化による規模拡大+オリエンタルシフトなど、オランダ産の現地出荷は数年前に比べると遅れることが多くなっています。
また、船会社のエコ運転による舟脚の減速化で、輸送にかかる期間も長くなり、2月に入ってからやっと入荷が始まる品種も多くありました。
安全なご計画としまして、1月植えまでは南半球産でご検討いいただくようお勧め致します。また、オランダ産新球は、植付け後 発芽までに期間を要すること、さらに出荷時期ごとに想定される切り花価格を考え合せると、2月前半も南半球を使うメリットがあります。皆様の収益向上につながれば幸いです。
◎情報をうまく活用してください。
南半球産とオランダ産では、時に別品種かと思うくらい力が違いますのでご注意を。
また、1月頃見たリン付きの印象と今頃とでは、植付け時期の地温など環境の変化、球根の力落ちなどから、印象が大きく異なると思います。
当社の試験ハウスでは、同じロットのSH球オリエンタルを10月下旬と12月初めに植付けており、今年のリン付きの傾向とともに、植付け時期による力の落ち方もご覧いただきました。ご希望のお客様には、リン付き比較表をご案内できますので、営業までご要望下さい。
09年SH産のリン付きは、NZ産が平年よりやや少なく、CH産が多くなっており、両国間の差が縮まった印象を持っています。
Check!!
詳しくは、ホームページ → 試験栽培データ → 2009年南半球産栽培
をご参照下さい。