中村 慶吾
いつもお世話になっております。
今回09年オランダ産の在庫表を送付させていただくにあたり、いくつかオランダの状況をご報告致します。
① 相場環境
オランダ面積統計の通り、本年のオランダの作付面積は昨年よりも減少しました。特にオリエンタルの減少は十分であり、6月以降相場は上昇してきました。
下記にオランダの球根生産者、輸出会社の状況と相場推移をお伝えいたします。
●一般品種:
ソルボンヌ、シベリア、イエローウィンなど、いわゆる主要品種は販売が順調で、ソルボンヌ・イエローウィンはすでに球根生産者からの仕入れが難しくなってきている状況にあり、最も価格が上昇した品種の一つです。クリスタルブランカは16-18、18-20が完売です。
●新品種:
バンザンテン社品種は概ね完売(ビタラは混ざりのためにショート)、フレッター系新品種は人気品種 及び 価格が下がって値ごろ感が出たものは完売、その他育種会社の比較的新しい品種(色ものOTや、淡ピンク・桃色オリエンタルなど)も日本が使うサイズは概ね完売となり、この品種群はすでに商売が終了しています。 サンタンダーなどは面積が増え、かつ価格も上昇しました。
●面積が減りすぎた品種:
マルコポーロ、ルレーブなどに代表される定番品種は、価格安定のまま 完売となってきています。これらは球根単価が安くなりすぎたため採算に合わず、生産面積が減りすぎたことが原因です。
●中堅サブ品種:
メインでも新品種でもない、2番目の選択にあたる品種、特定作型で有効な品種、品種構成要因としての品種(シベリア・ソルボンヌだけでは自分で相場を崩してしまいますので)などは、これまでのところ販売は快調とは言えず、価格は安定または一旦値下がりしました。しかし、品種の選択肢が狭まってきた現在、ようやく動き出しており、これらは生産面積が半減したものも多いことから、価格が上昇または完売が近いものが出てきています。 マザーズチョイス、ノバゼンブラ、リアルト、シンプロン、コブラ、コルバラ、モンテズマ、アクティバ、ロンバルディア、マレロ、メデューサ、パンドラ、サナ、ティアラ、ウィルケアルベルティ、シェルブール、ベラドンナ、ゴールドシティ、ニンフなど。
② オランダの気候
別紙“2009年オランダ気候グラフ”をご参照の通り、3~4月の植付け時期から天候が良く、順調な植付け後 生育は早く、これまでのところ各月の日照と平均気温は平年値を上回っており、生育環境は良好の年です。
ただし、雨量は少なめで地域により干ばつ気味なところもあり、南オランダ(リングルグ・ブラーバントの一部)や東オランダ(ドレンテ・オブライセル北部:ドイツ国境付近)では特に雨量不足により肥大が遅れていると言われています。
代表的輸出会社の意見では、これまでの作況(9月時点での印象)は、南オランダで90、東オランダで95~99、全体の平均としては95との意見です。
(多少営業が入っていると思いますから、実際は97といった雰囲気?)。
「平年並み~やや不良」、「良くはない」といった感じでしょうか。
③ 08オの不足と09南半球の欠品の影響
08年オランダ産は、なぜか「あまる余る」と言われ、終盤に不要に相場を下げたものの、結果としては肥大不足で、シベリア等でも大きな欠品が発生し、収穫期を前に急激に値上がりして完売、日本の輸入量も1割以上減少しました。
その後09年南半球産も欠品があいつぎ、旧正月が遅い2010年においては中国などで需要が高く、球根不足がさらに深刻になりました。ここ1年で収穫されたものが全て売り切れ状態といった状況になり、09年オランダ産の取引も停滞せずに進み続けています。
マグロじゃありませんが、注文の時期を逃すと買いそびれてしまいそうです。
以上、簡単ですがご報告まで。