株式会社中村農園

レポート・球根情報



中村農園 新冷温蔵庫設備工事に関する課題事項及び技術対応 (2009/5/21)

お世話になっております。

皆様のご協力により、弊社の新冷温蔵庫が完成致しました。
この工事におきまして、冷凍・冷蔵関係の設計、施工をお願いいたしました、㈱ナンカイ冷熱設備の大前博史社長から、メッセージを頂きましたのでご紹介申し上げます。

皆様方には、来る6月4日~6日、「ゆりフェスタ」の際、ご視察いただけると幸いでございます。なお、原文には弊社名の後に敬称が記入されておりますが、ナンカイ冷熱設備様の許可を得て、省略させていただきました。

平成21年5月18日
高知市弘化台 14番33号
株式会社ナンカイ冷熱設備

課題1. 各冷蔵庫の許容温度差を±0.2℃(0.4度以内)に抑えたい。
又、(利用する機会が最も多い)設定温度は-1.5℃とする。
A. 一般の冷蔵庫は、温度差を±1℃(2度差)で使用する為 通常の温度調整機(サーモスタット)は、一般に1度か0.5度単位で設定する様に出来ているので…

① 温度調整機等を特注し、設定を0.1度単位で調整出来る様にした。

② 庫内冷却器及び室外機を多数化(室内機34台、室外機11台)する事により、
冷却時には、冷却を分散し庫内の温度ムラ及びプルダウン(温度下がり過ぎ)を最小限に
抑える事が出来た。
又、霜取時にも温度上昇を抑える事が出来た。
(一台が霜取中の時、他の冷却器が作動し冷却力を十分補う。)

課題2. 風による内容物の水分蒸発(乾燥)を防ぎたい。
A. 冷却器を多数使用し、極力風速を抑え、ゆっくりとした風の循環を図った。
課題3. 広い庫内の温度ムラを最小限にしたい。
A. 課題1.の機種選定の他、吹き出した冷風が当たる天井と壁面の接合部にアール(円形)部材を設け冷風のスムーズな循環を図った。
課題4. 庫内の湿度を85%以上にしたい。
A. 加湿が出来る範囲は常識的には+(プラス)温度帯であり、加湿をする例はまれ。(水分が凍る為)

又、湿度調整機も-(マイナス)温度帯では使用出来ないとされている。
超音波加湿器を使用する事も考えたが、イニシャルコストの問題、取付工事の問題、故障等の問題があるため、特殊ノーズル(微霧発生ノーズル粒径10ミクロン)を使用し、湿度はタイマーにて調整する事にした。

課題5. 一部の機器が故障した場合でも、内容物に悪影響を与えない様にしたい。
A. 冷却器等は、庫内通路上へ設置し、水漏れ等があっても商品の上に(水滴が)落ちない様にした。
又、複数台にて独立冷却とし、仮に一部の機器に故障があっても他の機器が補い、温度上昇による品質低下を防ぎ、内容物の移動をする必要は無い様にした。
加えて、当倉庫は自家発電装置を設置しており、災害時の停電にも備えている。
課題6. 温度が下がり過ぎた場合、内容物が凍結してしまう。
A. 各部屋の冷却器には、加温機能があり上限温度、下限温度を自由に設定できる全自動運転仕様とした。
因みに、中村農園の使用目的には必要ないかもしれないが、当倉庫の機械仕様としては設定温度+25℃~-20℃に対応出来る能力を持っている。
まとめ(感想)
 内容物は生物である為、氷温帯(生物が凍るギリギリの温度)にて長期保存する必要があり、温度ムラ、温度差、使用温度帯、湿度、生物の発生する残留ガス等の問題があり、イニシャルコスト、ランニングコスト等を含め課題が多かった。
弊社スタッフは各メーカーや関連設備業者と協議・研究して共に一つ一つ課題を解決する事ができ、冷凍・冷蔵の専門会社である弊社にとっても大変興味深く、勉強させて頂いた仕事でした。