株式会社中村農園

レポート・球根情報



ニュージーランド出張報告(2018/7/30)

お客様各位

ニュージーランド出張報告

2018年7月30日
株式会社中村農園
中村 慶吾

 いつもお世話になっております。
7月17日~20日まで、ニュージーランドにて、収穫作業や生産会社の状況などについて調査して参りましたので、以下にご報告させて頂きます。

 

【ニュージーランドの乾燥は、2018年のオランダに似ている!?】

7月17日、早朝のオークランド空港に到着し、外でターミナル間のバスを待つ際に、暖かくてジャケットをスーツケースにしまいました。この週は、アイランドバルブ社が所在する北島のヘイスティング地区も、バンザンテン社、バッカー社が所在する南島のラカイア地区も、日中の最高気温は18℃と、春の気候となり、改めて今年のニュージーランドの暖かさを実感しました。
次のページにあるクライストチャーチ(南島、ラカイア地区から車で北へ45分)の気候グラフをご覧いただくと、今年の気候の特徴が見て取れます。
赤い実線の2018年NZ産の月間平均気温を見ますと、点線の平年値に比べ、生育前半の気温が特に高かったことがわかります。併せて、1月15日付ニュージーランド出張報告でもご紹介の通り、初夏に当たる11月と12月の1か月半は、雨がなく乾燥しており、調査時点の肥大は「やや小さい」でした。

さて、先日ご報告の「チリ出張報告(7月23日付)」で、今年のチリの気候は、前年のオランダに似ているというお話をしましたが、今年(2018年)のオランダの気候は、2018年ニュージーランド産の乾いた前半に似ていると思います。

オランダは今年、6月上旬開催のダッチリリーデイズ(展示会)以降、今まで高温が続いています。ここ1か月以上雨が降っておらず、運河の水位が下がり始めたため、先週から畑への灌水に対し、取水制限が入り始めているそうです。
前半の高温はチューリップの収穫結果に影響し、全体で25%前後の大ショートだったそうですが、生育が良く(NZ同様)摘蕾時期も早かった百合球根も、さすがに肥大が心配され始めています。
余談になりますが、フランスの春は天候が悪く、植付けは遅れ、摘蕾がオランダよりも遅かったため、2018年産の球根の力は、逆転するだろうと言われています。

 

【球根肥大と芽形成】

 話をニュージーランドに戻しますが、青い棒グラフの通り、真夏の1-2月にまとまった雨が降ったため、生育後期に肥大を取り戻しました。今年は収穫作業が順調に進み、訪問時、多くの圃場の収穫が済んでいましたが、生産者によると、秋に平年並みに地上部の刈込みを行ったと言い、収穫結果も概ね平年並みとのことでした。
芽形成については、日本向けの品種を中心に多くのサンプルを調査することができました。今回の調査結果と過去5年間の平均値を比較すると、以下のようになります。

芽の長さ:106.7%、 芽の幅:113.0%、 葉枚数:115.1%

ラカイア地区では4月前半に雹と早い霜が起きており、芽形成が進んだと考えられます。17年NZ産に比べて、日照量に恵まれたシーズンだったので、幅が太い、力のありそうな芽をしています。
従来からNZ産は芽が高めですが、今年はその傾向が強く、適切な輸送と貯蔵が求められます。物量を活かした適宜輸送、精度が高い球根専用の冷凍施設といった、物流コンディション(状態)により、不要なリスクを避けることができると思います。球根産地と品種の理解、百合球根専門の弊社ならではの経験を生かしながら、皆様の球根をより安全にお届けできるよう頑張ります。

 

【パッキングの改善】

バッカー社は、種球専用倉庫や球根洗浄施設の増築など、ここ数年、品質と作業効率の改善に向け、大規模な施設投資を行っており、今年の収穫期から、パッキングが自動パッキング機に変わりました。オランダの輸出会社で多く使われている定評のあるメーカーで、最新の機能として、球根とピートがケースに入った後、一般的な横揺れだけでなく、縦揺れも加えて、より球根とピートが混ざる工夫がされていました。日本向けに、袋を手で閉じる人と、ダンボールの蓋をする人の2名がライン上で作業をしていますが、あとはフォークリフトドライバー数名だけで、リズミカルな機械音が響く、整然とした雰囲気でした。
手作業こそが付加価値だという考え方もありますが、ブレのない安定したパッキングを実現しています。NZの百合球根生産では最も経験の長いエイデン社長さんも、ホッとした様子でした。