情勢報告
2018年8月30日
株式会社中村農園
中村 慶吾
いつもお世話になっております。
全般の状況について、ご報告申し上げます。
① 2018年南半球産
チリ産に関しましては、生育前半から肥大が心配されていた通り、全体にショートの多い結果となりました。幸か不幸か、世界需要の減少により、球根生産者が持っていた在庫で調整できた為、輸出先の国に対してはショートしなかった品種も少なくありませんでした。
ニュージーランド産は、出張報告(夏と冬)でご報告いたしましたが、豪雨や初夏の長期乾燥などがあり、1月時点では肥大がやや遅れていました。しかし、全般に天候が良く、摘蕾時期が早かったことなどから肥大は良いと推測され、実態とずれが生じてしまい、結果、シベリアを含み、予想を超える大球のショートとなりました。
両国ともに不作の結果となり、関係のお客様にはご不便をおかけし大変申し訳ございません。
その他、品種別ではカサブランカNZ(1年)のバイラス問題に加え、エルドレッドNZ、マニサNZ、レソトNZ、レッドフォードNZが、船積みの時期になって、日本向けロットがない事が分かり輸出禁止になるなど、予想外の欠品もありました。重ねてお詫び申し上げます。
② 2018年オランダの乾燥
7月30日付ニュージーランド出張報告の中で少し触れていますが、今年のオランダは、6月中旬から8月上旬まで、1か月半以上ほとんど雨が降らない状況が続き、これまでとは違ったタイプの異常気象となりました。
次頁のグラフをご覧いただきますと、既に5月から雨量が下がっていたことが分かります。じゃがいもやテンサイなどは既に不作が見込まれています。
一方で、百合の球根圃場は、基本的に潅水設備があり、取水制限を受けたという話も聞きませんでした。但し、平年よりも2~3℃も月間平均気温が高い環境の中では、人工的な灌水は地表付近を湿らせる程度で、十分な水量とは言えません。
8月後半に、輸出会社が圃場調査を行った際の印象は…
今年はやや粗めに植え付けた球根生産者も多く、(意外にも)肥大は順調とのことですが、単位面積当たりの数量については少ない可能性があります。
又、オランダ南東部では、圃場によって生育のばらつきがあるそうです。
但し、8-9月の圃場調査は、盛んに肥大している時期であり、気候が日ごとに変わる季節の為、参考にしづらいものです。
(2014年9月16日付、オランダ出張報告の②をご参照)
③酷暑試験の開花が始まりました✾
現在、弊社試験農場で実施しております、「2017年オランダ産 酷暑試験(7月17日定植)」が見ごろを迎えています。発根に重要な、定植後2週間の高知市の最高気温は32~36℃、最低気温も25~27℃と最も高温の時期の栽培試験です。
お忙しい時期ですので、なかなかご来場いただくのは難しいかと存じますが、百合の限界にチャレンジした、面白い内容となっております。
以上